約 1,083,829 件
https://w.atwiki.jp/h_session/pages/8299.html
スーパーロボット大戦アナザージェネレーション(引っ越し用跡地)■PCリスト ■NPCリスト ◆世界の真実 ◆現在の状況●地球(全域) ●地球(地球連邦)●地球連邦(北南米・オセアニア大陸) ●地球連邦(ヨーロッパ・アフリカ地域) ●地球連邦(日本以外のアジア地域) ●地球(日本) ●アロウズ ●連邦監査院とアースセイバー騎士団 ●ソレスタル・ビーイング ●コロニー ●月面 ●アクシズ ●低軌道リング ●木星 ◆PCの所属 ◆敵対組織●W∵O∵R∵M∵ ●真連邦 セッション履歴 スーパーロボット大戦アナザージェネレーション(引っ越し用跡地) [部分編集] ■PCリスト 【PC名】 【性別】 【PL名】 【ユニット系列】 【ユニット名】 オウル=エンフィールド 男性 PL:ジン スパロボOG+オリジナル シュバルツ=イェーガー 神楽坂 雅人 男性 PL:ジン スパロボOG+オリジナル 黄龍機/黄龍王 新垣 久遠 男性 PL:ジン デモベ系 鬼機神ラツィエル クロウ=アステリオス 男性 PL:ジン ガンダム(UC)系 F91(先行量産試作機) 【PC名】 【性別】 【PL名】 【ユニット系列】 【ユニット名】 中村結衣 女性 高菜兄さん オリジナル 戦艦「ラプンツェル」 朝霧寧々 女性 高菜兄さん 模型戦士ガンプラビルダーズ ビギニングG HGガンダムデルタリペア(アバンテブルーカラー) 唐澤美代(BBA) ババア 高菜兄さん ガンダムMSV・機動武闘伝Gガンダム・新スーパーロボット大戦 デビルザク(OG) 未リビルド 各務原裕二 男性 高菜兄さん 現実兵器 10式戦車改 【PC名】 【性別】 【PL名】 【ユニット系列】 【ユニット名】 ロイ 男性 サの字 覇王大系リューナイト リューグラップラー・コルディオ 高波柚葉 女性 サの字 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 記録と変化の使徒・ウリエル 小鳥遊美雪 女性 サの字 超獣機神ダンクーガ オメガダンクーガ アグライア 女性 サの字 GS美神_極楽大作戦!! カオスフライヤーα D.D 男性 サの字 機動戦士ガンダム 単座式61式戦車・デニーカスタム 星埜天馬 男性 サの字 デジタルモンスター ビクトリーグレイモン&ズィードガルルモン 孫緋桜 女性 サの字 新機動戦記ガンダムW_DS_G-UNIT カスタムリーオーPX 【PC名】 【性別】 【PL名】 【ユニット系列】 【ユニット名】 アイン 男性 M1 装甲騎兵ボトムズ スコープドック・タイプ20 渋田 鈴葉 女性 M1 Zガンダム ロンバルディア級戦艦 刈谷真一 男性 M1 AC 可変型MT 刈谷翠 女性 M1 AC MT ルーファス 男性 M1 ガンダム MS パトリシア 女性 M1 ガンダムSEED ジン シズカ 女性 M1 MSVオリジナル 自走砲 【PC名】 【性別】 【PL名】 【ユニット系列】 【ユニット名】 ヴェルジュ・クライブ 男性 velzyu フロントミッション ヴァンツァー・ゼニス アリス・コレット 女性 PL:velzyu Zガンダム+スーパーロボット(名前の元ネタはボーボボ) サイコガンダムダブルツインマークⅡセカンド ルージュ・ファティマ 女性 PL:velzyu ゼノギアス ユグドラシル0(ゼロ) リディア・ミッチェル 女性 PL:velzyu 機動戦士ガンダム エアロガンダムツヴァイ ユジール ショタ人外 PL:velzyu ファイナルファンタジー バハムートキッズ 【PC名】 【性別】 【PL名】 【ユニット系列】 【ユニット名】 ユエ・ホシヨミ 女性 RUI スパロボOG ハーモニー・レーベン キャロル・ヴォルフィード 女性 RUI ロスト・ユニバース スターブレイカー(ヴォルフィードⅡ) 皇 昂音 女性 RUI スパロボOG+東方project ヤタガラス(EX) 豊穣 桜 女性 RUI マブラヴ・オルタネイティヴ 桜花 【PC名】 【性別】 【PL名】 【ユニット系列】 【ユニット名】 三島留美 女 炎戒 機動戦士ガンダム エアロガンダム 戸川明菜 女 炎戒 デモンベイン 鬼械神ニブルヘイム 【PC名】 【性別】 【PL名】 【ユニット系列】 【ユニット名】 甲野未緒+ミウ 女性 西博士 デモンベイン デモンベイン・ジェミナイ ななこ 女性 西博士 ゼノサーガシリーズ ななこ専用VX-4000改 【PC名】 【性別】 【PL名】 【ユニット系列】 【ユニット名】 リョウガ=ゾルダーク 男性 端島司 スパロボOG Rセイバー リュウザキ・タクマ 男性 端島司 機動戦艦ナデシコ ナデシコ級戦艦サザンカ ティアリス=ノルランド 女の子(ふた) 端島司 ガンダムSEED プロヴィデンスザク 兜 刀次 男性 端島司 マジンガーZ デビルマジンガー 右近・ク・サイダー 男の子 端島司 ラムネ&40 ノヴァサイダロン 【PC名】 【性別】 【PL名】 【ユニット系列】 【ユニット名】 リヴィア&レヴィア 女性 PL:[とりあえず] グレンラガン グレンラガン・インパクト/アイングレンラガン・ゼーレ メメル 女性 PL:[とりあえず] R-TYPE R-9A アローヘッド ルイン&エペクト 女性 PL:[とりあえず] オリジナル+スパロボOG+マクロス 量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ改・ルインカスタム ウィグ&クォタビー 女性 PL:[とりあえず] オリジナル+スパロボOG ヒリュウ弐式 ゼズル・デュレッセル 男性 [とりあえず] ガンダムSEEDASTRY アストレイ・シルバーフレーム 宝蔵院インク&エクス 女性 [とりあえず] ゼーガペイン ゼーガペイン・フェイク 鈴原 怜奈 女性 [とりあえず 鉄のラインバレル ジェット 【PC名】 【性別】 【PL名】 【ユニット系列】 【ユニット名】 コースケ=ナグモ 男性 oinu スパロボOG アルトアイゼン・リバイブ カイン=ティール 男性 oinu スパロボOG ベグラーベン ジョン・ドゥ 男性 oinu ガンダム ジム・コマンド 【PC名】 【性別】 【PL名】 【ユニット系列】 【ユニット名】 陵 龍希 男性 rakshasa マジンサーガ+モンスターハンター+特撮作品諸々 ドラグーンΩ 龍堂 凱 男性 rakshasa マジンカイザーSKL デスカイザー 【PC名】 【性別】 【PL名】 【ユニット系列】 【ユニット名】 サクラ=ミリュシュタイン 女性 PL:阿修羅猫 スパロボOG フェザリオン リーヴァ 女性 PL:阿修羅猫 オリジナル ネームレス・F ホクト 女性 PL:阿修羅猫 機動戦艦ナデシコ(劇場版) リリーヴェル ヴェンディ ロボ? PL:阿修羅猫 オリジナル(一部SRWオリジナル プロトファング01 ルゥ・アフラー 女性 PL:阿修羅猫 ガンダムOO+α イナクト・バイパー+BB 【PC名】 【性別】 【PL名】 【ユニット系列】 【ユニット名】 フィフティ・セブン&オセ 男&オス PL:りざーどめん Armored Core NEXUS&女神転生 ソロモン57 シャーロ・ブルース メス猫 PL:りざーどめん スターフォックス スカイキャリアー ゼノ・ソブレロ オス PL:りざーどめん ソラトロボ クーバース4番艦・グリーングリード 【PC名】 【性別】 【PL名】 【ユニット系列】 【ユニット名】 ヒワタリ=ミヤ 女性 PL:マヤ 機動戦艦ナデシコ+オリジナル エステバリス○○ イヴァン=フォン=シュヴァイニッツ 男性 PL:マヤ 天地無用!+バハムートラグーン 無銘 ヘスティア=ミュウ 女性 PL:マヤ スパロボOG タイタリオン 【PC名】 【性別】 【PL名】 【ユニット系列】 【ユニット名】 スピネル 幼女 PL:孤狐 オリジナル ケイローン デルニエ 幼女 PL:孤狐 オリジナル アトゥー アデル 少年 PL:孤狐 ドラゴンアームズ アンカーフォートⅡ 兜清麗奈 幼女 PL:孤狐 オリジナル ピジョンブラッド 【PC名】 【性別】 【PL名】 【ユニット系列】 【ユニット名】 リンファ 女性 御苑生広見 POWERDoLLS リッペンバールト X5 LVP-30B アキラ 女性 御苑生広見 STARDRIVER タウバーン ユリ 女性 御苑生広見 機動戦艦ナデシコ 【PC名】 【性別】 【PL名】 【ユニット系列】 【ユニット名】 キルス 女性 OUR デモンベイン系 アグジアート アリス=ノルランド 女性 OUR SEED系 カオスシルト グラン=グレン 男性 OUR スパロボZ系 アクシオ・バーグラー・タイプM シェーラ=グレン&ハロ 女性 OUR スパロボZ系 なし 【PC名】 【性別】 【PL名】 【ユニット系列】 【ユニット名】 月影瑠璃 ショタ じゅね それいけ!宇宙戦艦ヤマモトヨーコ系+若干のオリジナル 特一級強襲空母・改型 TA-04C・ツキカゲ・ルリ シエル=ゾルダーク 女性(ふたなり) じゅね オリジナル+スパロボジナル ヴァルシエル 篠ノ之 珊瑚 女性(ふたなり) じゅね IS×デモベ デモンベイン・ルシフェル アイラ&ラクチェ 女性 じゅね 機動戦士ガンダム グフフライトタイプ・アイラカスタム 【PC名】 【性別】 【PL名】 【ユニット系列】 【ユニット名】 天城総一 男性 なぱてっく デモンベイン 鬼械神アルカエスト ミライ=アスノ 女性 なぱてっく 機動戦士ガンダムAGE(小説版) ダブルエーガンダム テンコ=クズノハ 女性(ふたなり) なぱてっく ニンジャスレイヤー+機動武闘伝Gガンダム ガンダムスレイヤー 【PC名】 【性別】 【PL名】 【ユニット系列】 【ユニット名】 ユウジ=ツキシロ 男 い~ぐる 機動戦士ガンダムZ メタス・NTC 【PC名】 【性別】 【PL名】 【ユニット系列】 【ユニット名】 フレデリック=加賀見 男 御影 エンゼルギア シュネルギア改・クサナギ エイグラント=加賀見 男 御影 デモンベイン デモンベイン フィリマール=ストルバート ふたなり 御影 ガンダムSEED ガンダム・エリュシオン ■NPCリスト [部分編集] [部分編集] ◆世界の真実 この世界は何度となく滅びと新生を繰り返している。 レメゲトンの首魁はその事実を知っており、幾多の平行世界にアクセスする事で、無限の滅びの輪から抜け出そうとしている。 PCは様々な事情を抱えつつも、幾多の並行世界、様々な次元から、レメゲトンに集った者達である。 ◆現在の状況 ●地球(全域) 連邦が一年戦争の1年後、戦後処理の問題から解体されて、国際連合を中心とした各国家の当地に逆戻り。 その中で、太陽光発電システムとその中核を担う軌道エレベーターの維持のため、 ユニオン AEU 人革連の三大国家群に集約された。 また、その三大国家に加わらない国家は独自で国連に加入することとなった。 日本はそれらの国家に加わらす日本として独自に国連に加入し、三大国家につぐ発言力を持つに至った。 外敵や別世界からの敵などを鑑みて、再び地球連邦を樹立。 三大国家や国連加盟国の殆どが地球連邦へ参加。 日本の国会議事堂を連邦議会として使用することとなった。 それに反発する勢力が真・地球連邦を設立、、地球の対立関係は≪地球連邦 vs 真・地球連邦 vs 多次元勢力≫という構図になった。 現在は一年戦争より9年後である。 ●地球(地球連邦) 三大国家や国連参加国のほとんどが加盟している地球統一政府の一つ。 参加国の国家代表が参加する議会共和制を採用している。 各国には自治権が与えられているが、軍事組織は地球連邦軍として再編される。 レメゲトンはこの地球連邦に属している。 ブレイクピラー事件で破壊されたアフリカタワーも再建が始まっている。 ●地球連邦(北南米・オセアニア大陸) アメリカを中心とした北南米大陸の国家で構成された地域 ●地球連邦(ヨーロッパ・アフリカ地域) かつてのEUを中心とした国家連合であり、三大国家の一翼 ●地球連邦(日本以外のアジア地域) 旧人革連地域だが、参加しているのはロシア系国のみである。 統一朝鮮や中国共産党(中華人民共和国)は参加していない。 ●地球(日本) 連邦軍極東方面軍が母体となっている日本国防軍率いるスーパーロボット軍団や超エネルギーの宝庫のため 各国家群は手を出せずにいる。 連邦軍直轄部隊レメゲトン本部が存在し、連邦議会や各機関も日本に設置されている。 ○熱海エリア レメゲトンの本部があり、非常に高い立ち退き料を支払って広大な敷地がある。 近傍災害には全力で出動するため、近隣住民の印象は概ね良い。 また、基地の向かいには高級料亭兼居酒屋の極楽亭が店を構えている。 ●アロウズ 旧国連平和維持軍を母体とし、ティターンズやシャドウミラー・プリベンター等が合流している。 急速に勃興した地球連邦の秩序維持を目的とした連邦軍独立治安維持鎮圧部隊である。 総司令官は旧平和維持軍司令官のカティ・マネキンを中将へ一気に昇格させて司令官に任じている。 ジャミトフ・ハイマン中将がアロウズ担当長官として軍政を司る。 多数の特殊部隊の寄せ集めのため、ここの技量は高いが連携が今後の課題となっている。 旧平和維持軍と違い常備軍であり、旧ユニオンのアメリカ国防総省をアロウズ本部として設置している。 ●連邦監査院とアースセイバー騎士団 連邦監査院は連邦内部の不正や非人道行為を取り締まる機関。監査院議長はマリナ・イスマイール。 実効戦力としてアースセイバーを従えている。 アースセイバーは突如AEU領に現れた平行世界の地球の軍隊。騎士団長はマルグリット・ガルス・ピステール 副団長はビアン・ゾルダーク 保有戦力は全参戦作品の機動兵器オールスターで、こちらの世界のユニオン特殊部隊ハイエナ部隊が裏切って加入。 突如こちらの世界の征服を宣言。長い間活動を行っていなかったが、地球をまとめるという目的を果たしたため 移動旅団発足とともに、移動旅団に協力の姿勢をとる。 また、アースセイバー騎士団と改称し、アザディスタンに本部を移す。 ●ソレスタル・ビーイング 紛争に対して武力介入を行なっている。 現在はプトレマイオスチーム・ロンド・ベルの2チームに分かれている。 現在は宇宙にてコロニー紛争を中心に介入にあたっている。 ●コロニー 地球本星から搾取を受けていて、反地球の機運が高まっているのはいつもと変わらず。 コロニー国家連合が存在し、地球連邦からの独立を図っている。 旧地球連邦時代に起こった一年戦争は終結しているものの、ジオン残党がアクシズに潜伏中。 新連邦政府になってもここはあまり変わっていない。 ●月面 アナハイム・エレクトロニクス社が大きな幅を利かせておる、 アナハイム社内でも謎の部門が存在しており、GNドライヴなどの研究を行なっているらしい。 ●アクシズ ハマーン・カーンやカスペンそしてシャアら率いるジオン残党軍が存在している。 現在は地球圏を離れている。 ●低軌道リング 太陽光発電の要。 ●木星 (つかちゃんが書きます) ◆PCの所属 ●レメゲトン 元々は地球連邦の研究機関であったが、 そこに参加したアポロンやヘルマンが各地のコネを使い、地球防衛組織に作り変えた。 レメゲトンの身分は保証されており、いろいろな人が存在している。 また、連邦軍直轄独立部隊であり、行動の権限は強い。 ◆敵対組織 ●W∵O∵R∵M∵ 正式名称:World Order of Ruin and Massacre(破壊と殺戮の世界結社) 首領:フラター・セルペンテス(オサカベ・トモヤや、コース大佐などと名乗ることがある) 目的:黙示録のよる大破壊の時に、魔王側を有利とするために、異形科学と黒魔術による魔術的テロを実行します。 レメゲトンの分派である、「星の智慧結社」の生き残りが結成したテロリズム組織。 邪神の復活などの魔術的テロリズム、異形科学の敵組織への提供などを画策し、実行します。 自分たちを排除したレメゲトンを憎んでいるので、レメゲトンの敵対組織を援助し、世界的に日常を破壊することを好みます。 魔術によるテロ行為を行う組織として設定します。首領以外はお好きにどうぞ。 星の智慧結社には、マスター・テリオンと名乗る魔術師や、ナイと名乗る神父などが居ましたが、現在は行方が解らなくなっています。 ●真連邦 真の地球連邦を名乗る国家群。 中国や統一朝鮮を中心に、連邦に不満を持つ人間や国家が参加している。 AEUからブルーコスモスが合流している。 発足直後に真連邦系と思われる武力攻撃が発生しており、 地球連邦軍との衝突はさけられないものとなっている。 また、真連邦の主要人員も多くがまだ明らかになっていない。 [部分編集] セッション履歴 No. セッション日時 セッションGM CP クレジット 備考 ログ 001 2012/12/30 なおさん 5 888 なし ログ 002 2013/01/01 なおさん 8 1022 なし ログ 003 2013/01/02 [とりあえず] 8 783 ログ 004 2013/01/03 端島司 7 1026 ログ 005 2013/01/03 なおさん 10 1114 撃墜ボーナス予備電源 ログ 006 2013/01/04 なおさん 10 1420 ログ 007 2013/01/05 なおさん 9 1060 ログ 008 2013/01/06 なおさん 5 970 ログ 009 2013/01/06 マヤ 9 770 ログ 010 2013/01/07 ジン 9 1200 ログ 011 2013/01/08 [とりあえず] 10 1236 ログ 012 2013/01/10 なおさん 10 1696 デモンゴーレム祭り ログ 013 2013/01/12 端島司 8 1172 新春ヤザン祭り ログ 014 2013/01/12 なおさん 10 2441 トランザムアタック祭り ログ 015 2013/01/13 端島司 8 867 ログ 016 2013/01/14 マヤ 8 500 ログ 017 2013/01/20 [とりあえず] 10 955 勇者たち [[]] 018 2013/01/26 端島司 9 1240 対決!SRXチーム! 019 2013/01/27 なおさん 10 2860 ELSたん祭り ログ《準備中》 020 2013/02/02 端島司 8 1210 熱風!疾風!アニバスター! 021 2013/02/02 なおさん 10 1800 節分 ログ《準備中》 022 2013/02/03 [とりあえず] 10 1829 折れたドリル 023 2013/02/08 なおさん] 5 2550 機動星人バルタン~逆襲のクレア~ 024 2013/02/10 なおさん] 9 2000 機動星人バルタン~逆襲のクレア~ 025 2013/02/10 [とりあえず] 8 1838 元通り? 026 2013/02/11 M1 8 1380 違法研究 027 2013/02/12 ジン 12 1500 【百邪というモノ】 028 2013/02/17 [とりあえず] 5 2957 罵煉多淫 029 2013/02/23 端島司 8 1800 邪神トモコの帰還 030 2013/02/26 [とりあえず] 5 1462 NewAGE 031 2013/02/28 M1 8 1352 機械仕掛けの亡霊 033 2013/03/02 なおさん 12 1500 ハロ祭り~レメゲトン=サン~ 034 2013/03/02 なおさん 12 2000 信念と正義 035 2013/03/03 なおさん 10 1500 ハートマン軍曹のスパロボ教室 036 2013/03/08 OUR 10 1200 総一編一話「名称未設定」 037 2013/03/10 端島司 10 1470 獣人とアインストとゼクスバインと 038 2013/03/16 M1 8 1435 合同演習 039 2013/03/20 じゅね 10 1240 異世界から来る蟲 040 2013/03/21 なおさん 10 1500 おさかな天国 041 2013/03/21 なおさん 12 2250 歪んだ信念の終着点 042 2013/03/23 端島司 9 1780 BASC MAN 043 2013/03/21 なおさん 8 2000 外方の輩 044 2013/30/26 M1 12 2120 機械仕掛けの亡霊2 045 2013/30/31 端島司 10 2550 046 2013/04/07 OUR 9 1800 真なる共鳴 047 2013/03/21 なおさん 12 2500 偽りのすれ違い 048 2013/04/19 サの字 8 725 漆黒の黑 強化パーツ:ブースター(西博士に譲渡) 049 2013/04/27 OUR 10 2000 魔術師のカード 魔王スルト 赤ふん 050 2013/04/28 なおさん 10 3015 050 2013/04/28 なおさん 15 4857 超難度シリーズ「世界崩壊」 051 2013/05/19 なおさん 12 2000 ZONE 052 2013/06/25 なおさん 11 3000 アイテム「セシリアのドッグタグ」入手 053 2013/07/23 M1 10 1500 054 2013/07/26 サの字 9 1420 055 2013/07/28 ZIN 15 2000 056 2013/07/30 M1 8 1600 057 2013/07/31 ヴェルジュ 10 1980 058 2013/08/03 ニーサン 12 4000 メメントモリ攻略戦 059 2013/08/03 ニーサン 15 4500 散りゆく光のなかで 060 2013/08/11 ヴェルジュ 12 2044 061 2013/08/14 ニーサン 12 2000 062 2013/08/19 oinu 07 819 グレイブヤード 063 2013/08/24 ニーサン 12 3500 064 2013/08/30 ニーサン 10 2500 イージス艦やまと 065 2013/08/31 サの字 8 2120 デジモン 066 2013/09/01 ニーサン 10 2000 料理の鉄人 067 2013/09/06 ニーサン 15 2500 移動旅団前夜 移動旅団希望者のリビルド権 068 2013/09/08 サの字 7 1570 デジモンVSババモン 069 2013/09/13 炎戎 8 1280 070 2013/09/15 ニーサン 10 2000 流派道東不敗 ~グラハムは東方妖々夢に萌えている~ 071 2013/09/15 ニーサン 10 3000 没落財閥 000 2013/11/26 RUI 8 2700 シャドウミラー特別演習だ、これがな 000 2014/01/03 RUI 8 3050 レメゲトンを襲う悪意 [部分編集]
https://w.atwiki.jp/sw_bot/pages/31.html
マイケル・サニーサイドbot msunnyside1_bigger.jpg 30分~1時間毎に発言をします。 時と場合によりもっと短い時間でも発言します。 呟く内容は日によって違うようです。 サニーサイドは慌ただしい人なので夜中も呟いたり電話に出たりもします。 リプライは5分間隔くらいで行われますが、忙しいと遅くなったり返答が出来なかったりします。 リプライ(@sunnysidebot宛てのツイート)に反応して呟きます。タイムライン上のツイートに反応することはないので、何かありましたら話しかけてあげてください。 フォロー返しは手動で行っております。 フォローを外したいときはブロック推奨です。(リムーブのみですとこちらからのフォローが外れないので挨拶等にサニーサイドがリプライを返してしまうことがあります) サニーサイドは気まぐれなのでたまにしばらく黙ることもあります。 諸事情で突然bot運営を停止する場合が御座いますがご了承下さい。 サクラ大戦bot同士でつぶやきをやりとりさせてくださる方がいましたら、お気軽にDMでお知らせください。 @sunnysidebotで反応するワード一覧 *挨拶系*おはよう/オハヨウ/こんにちは/こんばんは/おやすみ/ただいま/行[い]ってくる/行[い]ってきます/いってらっしゃい/お帰り/おかえり/はじめまして/*その他*体が勝手に/サンキュー/ありがと/ごめん/よろしく/可愛い/カッコイイ/かっこいい/お疲れ/おつかれさま/ファイト/寒い/紐育星組/見合い/納豆/恋/起きて/仕事して/頑張って/錦鯉/ムーンウォーク/サイン/暑い/好き/秘技/ぎゅ/ここに掲載されてるものが全てでは無いので他にも何かあるかも知れません。
https://w.atwiki.jp/sysd/pages/5658.html
サニーサイドアップ 本店:東京都渋谷区千駄ヶ谷四丁目12番8号 【商号履歴】 株式会社サニーサイドアップ(1985年7月1日~) 【株式上場履歴】 <大証JASDAQ-G>2010年10月12日~ <大証ヘラクレス>2008年9月5日~2010年10月11日(JASDAQ-Gに指定替え) 【筆頭株主】 次原悦子社長 【連結子会社】 ㈱ワイズ・インテグレーション 東京都港区 100.0% ㈲ワイズ・エムディ 東京都港区 100.0% 【沿革】 昭和60年7月 東京都中野区中野において、企業のPR(パブリック・リレーションズの略。以下、「PR」という。)をサポートするPR代行会社として株式会社サニーサイドアップを設立。 平成3年7月 宮塚英也(トライアスロン選手)とマネジメント契約を締結。マネジメント事業を開始。 平成5年5月 Jリーグ(日本プロサッカーリーグ)発足にあわせ、サッカー選手に対するマネジメント業務を開始。前園真聖(サッカー選手)とマネジメント契約を締結。 平成7年7月 本社を東京都新宿区愛住町に移転。 平成10年1月 中田英寿(サッカー選手)とマネジメント契約を締結。 平成10年5月 中田英寿オフィシャルウェブサイトnakata.netを開設。 平成10年7月 マネジメント部(現マネジメント本部)を設置。 平成12年7月 エンタテインメント事業部(現企画開発本部)を設置。コンテンツ開発事業を開始。 平成15年6月 日本競泳界初のプロ選手として北島康介(水泳選手)とマネジメント契約を締結。 平成17年1月 本社を東京都渋谷区千駄ヶ谷(現在の本社所在地)へ移転。 平成18年2月 マネジメント本部内にアスリート部及びスペシャリスト部を設置。 平成18年7月 株式会社ワイズ・インテグレーションを完全子会社化。SP(セールス・プロモーションの略。以下「SP」という。)事業を開始。
https://w.atwiki.jp/mayshared/pages/1271.html
ラノで読む(ラノ向けに改行しているので推奨) やる気のない号令の後、喧騒がやまない教室から小さな人影が出てくる。ちょうど放課後となり賑わい始めた廊下を、他の人よりも若干遅いぐらいの速さで歩き続け、その足は職員室へと向かっていた。時折声をかけてくる生徒に軽く手を振って、職員室のドアを開ける。 「お疲れ様ですー」 心持ちソワソワしている同僚に声をかけてから自分の席に座ると、大きく伸びをした。 「いちおうひと段落だけど、休み明けが大変だなぁ……」 自席に置いてある卓上カレンダーを見ると、その日からしばらくは赤い字が並んでいる。赤いけれど赤字ではない。公休日を示しているだけだ。 四月末から五月の頭、ゴールデンウィークは双葉学園にも一応ちゃんと存在する。それを使えるかどうかは別として。 「休み明けからはエスカレーターじゃない子も異能関係の授業が本格的に始まるし、忙しくなるよね……」 カレンダーを見ている人物の頭は、ゴールデンウィーク後の予定を考えていた。事前にある程度目処をつけておいて、自分も少しぐらいは休みをとろう、という考えだったのだが…… 「……? はーい」 首からぶら下げていた教員証……学生証と同等以上の機能を持つ多機能情報端末となっている……が、音声着信を告げる。それを受けて通話を始めたその人物の顔に、疑問符が浮かぶ。 「……出張、ですか?」 こうして双葉学園の教師、春奈《はるな》・C《クラウディア》・クラウディウスのゴールデンウィークは予定でキッチリ埋まる事となった。 ******************* その日の夜。 都内某所……この場合の都内は、本土の事を指し、小笠原諸島や、双葉区は含まない。念のため……にある料亭に、彼女は呼ばれていた。春奈の興味は、目の前に並ぶ料理よりも、彼女を呼んだ人物にあった。その人物はきっちりとスーツを着込み、彼女の目の前に座っていた。一方の春奈は、呼ばれてすぐに出発したため、ほぼ着の身着のまま、しまらない私服姿である。高級料亭という場所の雰囲気と、明らかに不釣合いだ。もっともそれは、呼び出した相手の方にも言えるのだが。 「お久しぶりです、柴咲さん。えーっと、十年ぶり……かな?」 「ああ、そちらは変わりないようだな」 「昔より痩せちゃいました。柴咲さんは……なんというか、落ち着きが出ましたよね」 柴咲結衣《しばさき ゆい》。彼女も双葉学園の卒業生であり、春奈から見ると一つ上の学年だ。当時は風紀委員として活躍し、現在は宮内庁式部職祭事担当、第三課の室長という立場に居ると記憶している。春奈とそれほど変わらない(つまりは小柄な)体躯をスーツで包んでいる様は、一見すると背伸びしている小学生だ。もっとも彼女が纏っている気配は、学園に居た頃とはずいぶん変わっている。それが激しい鍛錬を積んだ結果である事を、春奈は知らない。 「まあ、それはいいとして……仕事の話に移ろう。それを見てくれ」 言葉尻を濁した結衣が、話題を修正するように持ってきた資料を春奈へ渡す。 「えーと……これは?」 「犯行予告、らしい。何カ国かの異能者組織と、その国にあるテーマパークに向けて宛てられたものだ」 封筒には書状のコピーが何枚か入っており、様々な言語で抽象的な、今ひとつ意味が捉えにくい言葉が綴られていた。 「何で防衛省とかアリスじゃなくてそっちに行ったんでしょうね……あ」 呟きながら予告状を見ていた春奈が、それら全てに共通で含まれている固有名詞に気づいた。 「……”マスカレード・センドメイル”」 その名前は、ある程度異能力者の裏社会を知っている者なら、すぐに引っかかるものだろう。 その組織は、言ってみれば『美』を主張する人間の集まりである。もっとも、その主張方法は恐ろしく過激だ。かつては異能を以って『芸術品』を作成、それを様々な方法で世界に誇示する組織であったが、十年前に首領を含めた幹部が一斉に居なくなるという事件が発生、現在はテロを通じて『美』を主張する危険団体として認識されている。春奈も何度か、『テロとの戦い』に駆り出された経験がある。 「各国のテーマパークを、ここ十日間のうちに焼き尽くす……そう予告している。これを阻止して欲しい、というのが『仕事』の内容だ」 「ちょうど日本だとゴールデンウィークですよね……休んでもらうにしても期間が長すぎるし……」 「問題なのは、具体的な日時を指定していない事と、『来客を巻き込む』と明記しているところだ。組織自体は叩くのに規模が大きすぎるうえ、実行犯の目星がつかぬから先回りして潰す事もできない」 「予告状をサイコメトリー系の人に追ってもらえば……」 「もう試したが、発信者は操られてこれを作ったうえで、操ったものは痕跡を見事に消去していた……まあ、無駄足だな」 「……結局、水際作戦しかない訳ですね」 「本来ならテーマパーク側に運営差し止めを依頼してでも捕まえなければならぬところだが……」 「問題は、そのテーマパークが……ですね」 世界中に展開しており、小さな国家ほどの財力と力があるそのテーマパーク相手には、そう簡単に口出しすることが出来ない。公にできない『異能者』が絡むのなら、尚更だ。 「彼らの方でも、警備を増員すると言っているが、異能者が相手では分が悪い。もし学園の人員が必要なら、我が学園に掛けあおう」 「お願いします……って、まだ受けるって答えてないですよね?」 「受けるだろう?」 「受けますけど……あ、まだお夕飯食べてないんですけれど、ここで食べていってもいいですか?」 「ああ、ここの勘定ぐらいなら経費で落ちるだろう」 ……後日、宮内庁に送付された請求書の額に、結衣が頭を抱えたことは容易に想像できるだろう。 ******************* 翌日、千葉県浦安 「そっちは大丈夫かな。正面ゲート班、そちらはどうですか?」 テーマパークに存在する事務室内で指揮を執る春奈。一般の従業員には要警戒を伝えてはいるが、実際に何が起こっているか、起こるかもという事を知っているのは、春奈以下、派遣された対異能テロ対策部隊のみである。 そして現状、怪しげな動きは見つかっていない。 (それにしても、テーマパークかぁ……) マイクを手配している従業員にはマイクで、異能部隊のメンバーには異能で、それぞれ指示を送りながら考え事を続ける。 「……出来れば、別の機会に来たかったけどなぁ」 着ぐるみの従業員に、こっそりと異能を使ってその感覚を覗き見する。視線には、笑顔を見せている子供の姿。 「……暑い……」 リンクしているせいで、その蒸し暑さまで感じてしまうのが、彼女の異能の悩ましいところだ。 そうして一日、二日と警護を続けているが、何かが起こる気配はない。時期が時期なために、恐らく普段より多くの人が来ているのだろう。賑わってはいるが、小さなトラブル以外に騒動は起こっていない。 「確かにいつ来るかは分からないけど、ねえ……」 学園から呼んだ助っ人の学生も、許可を出して遊びに行っている。本職の警備員……中にはテーマパーク側がどこからか集めてきた、異能者の警備員もいる……は相変わらず目をひからせているが、なかなか引っかかる相手はいない。 「このまま終わってくれれば、平和でいいんだけど……」 そんな事を言いながら、息抜きに外へ出た。 家族連れやカップル、後は女の子の友達同士といった人々が大半を占めている。時々一人で来ているような人も居るが、まあそれはそれだ。皆、一様に笑顔を見せている。 「……いいなぁ」 そう呟くが、現在は仕事中。気を抜くことはできない。 大きく伸びをしたところで、自分の方を不思議そうに見ている子供の視線に、春奈が気づいた。 それに無言で笑みを見せ、素直に戻ることにする。 事件が起こったのは、平日を三日挟んで(その日は代打の人を呼んでちゃんと授業には行った)休みも終盤に入った五月四日。 「……へ? 怪しい人を見つけた? そのまま監視を続けてください。あたしもすぐ、そちらへ向かいます」 無線で普通の警備員に指示を飛ばしながら、学園の生徒や異能持ちの警備員にもテレパシーで指示を送る。 『ショップ近くで不審人物を発見という一報が入りました。そちらへ向かって……アトラクションに乗ってる人は終わったらすぐ来てください!』 連絡しながら、自身も立ち上がって問題の箇所へと走る。 彼女が到着したとき、それらしき動きはまったく見えなかった。 「……あれ?」 右を見ても左を見ても、それらしい影はまったく見えない。 「もしもし、例の人は……え、もう行った?」 慌てて無線で警備員に連絡を取るが、その返答は『不審な行動があった為、警備室に連行した』というものだった。 「……えーと、あたし、役立たず?」 こちらを見上げてくる子供に、情け無さそうな笑いを見せたのち、その詰め所へ向かった。 連行された人物を取り調べると、所持品検査で爆発物が発見されたという事で即刻連行された。動機は警備室では離さなかったが、持って来た爆弾をテーマパークの何処かで使うつもりのは確かなようだ。 「これで一件落着、ですかね?」 「……どうだろうね」 呼び出した生徒にそう話しかけられるが、春奈は首をかしげるだけだった。 その夜、テーマパークの近くにあるホテルで、春奈は結衣へと連絡をつける。 「ニュースで報道されてたんですか? まあ、それはいいとして……」 彼女の話だと、各地の実行犯は次々に捕縛されているとの事らしい。残っているのは日本ほか二、三箇所。日本の方も問題ないという連絡を入れた。 「はい、そっちはお任せします。それで、お願いなんですが……はい……はい、それじゃあ、お願いします」 電話を切り、ベッドへと身体を投げ出す。 「あーあ、明日は早起きしなきゃ……」 ホテルでの柔らかいベッドで寝るのも今日で最後かなぁ、と頭に浮かべた。 翌日、五月五日の早朝。まだ日が出るかどうかという時間帯。 このテーマパークの隠れた特徴として、まったくゴミが落ちていない、という事がある。スタッフの努力の賜物である。 その、誰も居ない場所に、一人の子供が立っていた。会場前のスタッフが巡回している筈なのだが、まったく彼……いや、彼女か……の存在には気づかない。 空を見上げているその子供が、懐から何かを取り出した。それは朝日を浴びて様々な色に光り、虹のようにも、油のようにも見える。 それを地面に置こうとしたところへ、女性がその人影へ声をかけた。 「どうしたのかな? まだ開場には早いよ?」 その声をかけた女性……春奈が、その子供へと声をかける。子供は、なぜ自分が見つかったのかと不思議そうな顔をして見上げてきた。何度か彼女を見上げたのと、同じ表情で。 「なんで見つかったんでしょう? 仲間がちゃんと不可視の能力を使ってる筈なのに」 「その人も、もう連行済みだからね。彼から計画は全部聞かせて貰ってるよ。素直に投降して欲しいな。マスカレード・センドメイルの刺客さん」 春奈がそう話しかけるが、子供は微動だにせず、手に持ったものを地面に置こうとする。 「ストップ! あなたがやりたい事は、だいたい分かってるよ。教えてもらったからね……あなたが毎日ここに来てたのは、『それ』を作る為だった、って事も分かってる。あなたが抱えているのは、とても危険なものだから、そのまま手に持って、離さないで」 教えてもらった、という言葉に反応して、その子供は小首をかしげた。 『周囲の人間から漏れ出す感情を集めて、時限発火式の爆弾を作る』 それが、春奈の目の前に存在する子供が持つ異能であり、日本で発生させるテロの鍵となるものであった。 「あの人、喋ってしまったんですか?……芸術へ身を捧げる覚悟がなってません」 「あなた達の言う『芸術』は、あたしには理解できませんから。各地の似たような異能持ちの人達はもう捕まってるよ……やめては、くれないかな?」 春奈の声も無視して、どちらの性別か分からない子供は淡々と話を続ける。 「芸術を示すのが第一の目的。それが成せないなら生きてる理由もありません」 「それは、誰に教えられたのかな?」 春奈の言葉に、子供がハテナマークを浮かべた。何を言っているのか理解出来ない、といった様子だ。 「……そんな事、ありません。私の感性がそう訴えてきたんです」 「うん、それはそうなんだろうけどね。ただ、どんな人でも、自分一人で完結している、ってことは有り得ないから。あなたにも、そういう『影響を受けた人』が居るのかな、って」 「そんな事……!!」 「……できれば、その爆弾に込められた人達の思いを、あなた自身が感じてくれてもいいんじゃないかな」 明らかに狼狽している子供を見て、春奈が軽く右手を挙げた。 「……柴咲流、封陣縛鎖陣」 一呼吸の間も与えずに荒縄が爆弾を持つ子供に襲いかかり、次の瞬間には雁字搦《がんじがら》めに縛り上げていた。 「え? これ……」 「ごめんね。こうでもしないと、やめてくれないだろうから」 縛ってはいるが、それほど強くはない……が、いくら子供が身を動かそうとしても、それは微動だにしない。それどころか、咄嗟に爆弾を起爆させようとしても、それは全く反応せず、奇妙な光を発するだけだ。縛られた相手の異能を封じる、ラルヴァの動きをも封じる秘技が、子供の動きを完全に封じた。 「皆さん、お願いします」 春奈の声に応えて、隠れていた異能持ち警備員がその子供を連行する。 「柴咲さん、ありがとうございました。わざわざ出張ってもらって……」 「構わぬ。必要だから呼んだのだろう?」 春奈が疲れたような表情を見せ、それに結衣が真面目な表情で答えた。 ******************* その夜、近々始まる授業の準備をしていた春奈に結衣から連絡が入った。内容は、テロ犯である子供の取り調べ内容。 『両親ともマスカレード・センドメイルの人間で、その親から赤子の頃から教育をされていた、という所までは証言がとれた。それ以上はまだだが、組織の核心に迫るような情報は無さそうだ。ちなみに先日の爆弾魔は、まったく関係ない愉快犯だったそうだ』 「うん、うん……なるほど、お疲れ様です」 『……あの時に言った台詞、あれは奴に向けただけでは、無いだろう?』 「ああ、あの言葉……そう、ですね」 『誰かに教えられた言葉……だが、それは悪いことばかりではないだろう?』 「そう続けようと思ったんですが、あまり刺激して爆破しちゃったら大変ですし」 苦笑いを浮かべる春奈だが、その雰囲気は電話の向こうにも通じたらしい。 『……学園の未来は、教師であるそなたにかかっていると言っても言い過ぎではない。よろしく頼むぞ』 「あはは、言い過ぎですよー。言われなくても、頑張ります……そう言えば、柴咲さんは学園に来ないんですか?」 『一度顔を出さないと、とは思うのだが。忙しくてな。では、また』 通話が切れ、部屋に静寂が戻る。 「……自分で言ってて、あんまり説得力無いよねえ。あたしの言葉も、やっぱり影響与えてるんだよね……」 しばらく天井を見上げて考えを続けていたが、頭を切り換えて準備に専念する。 「……けど、一回ぐらい遊びに行っても良かったかなぁ」 遊園地とかテーマパークとかいう場所に縁がない彼女ではあるが、興味がない訳ではない。むしろ興味津々である。 「……今度、提案してみよ」 実際にそれが通るかどうかはともかく、一応学園にお願いしてみようと決めた春奈は、それを一度頭の隅に追いやって授業の準備を続けることにした。当面は、ゴールデンウィーク明けの授業計画を練らないといけない。 「自分の言葉が影響を与えるなら、せめていい事を伝えないとね……あれ、これも誰かの受け売りかな?」 頭を捻りながら、とにかく目の前の事を片付けるようと目の前の書類をいじり始める。心なしか、顔が少しだけ真面目になったようにも見えた。 トップに戻る 作品投稿場所に戻る
https://w.atwiki.jp/mayshared/pages/1002.html
ラノで読む 「ケェアアアアアアアアアアアア!!」 怪鳥が絶叫をあげる。 その声の残響は、まるで七羽の鳥が同時に叫ぶかのようだ。 いや――実際に、そうであった。その巨大な、全長十メートルはあろうかという鳥は、首が七つあったのだ。 七色の鶏冠を持つ鳥。その各々の首が、それぞれの力を放つ。 赤、橙、黄、緑、青、藍、紫、それぞれの色と属性を持つ魂源力の閃光が少年に向かって襲い掛かる。森の木々を焼き、放たれる。 「遅いッ!」 野球帽をかぶった少年、鋭斗はその悉くを、木の幹を蹴りながら跳躍し、まさしく獣のごとき柔軟な身のこなしでかわしていく。 「しゃあっ!」 爪がうなり、鳥の体を穿つ。だが、幾重にも折り重なった羽毛が鎧となり、爪の威力を殺ぐ。鋭斗の爪は鳥の肉へと到達しない。そして巨大な、翼というよりはもはや巨腕と読んでさしつかえないその翼が拳を握り、鋭斗を殴りつける。 「がはあっ!」 木っ端のように吹き飛ぶ鋭斗の小柄な体。 だが、鋭斗は倒れない。歯を食いしばり立ち上がる。その小柄な体で、巨鳥を見上げる。 「必ず……必ず持って帰るんだ。己は、約束したんだ!」 思い出すのは、双葉学園で交わした約束。あの地でボロボロになった自分に初めて優しくしてくれた少女、人ではない自分を友達と呼んでくれた少女とのかけがえの無い約束なのだ。 『鋭斗くん、七面鳥を買ってきてね』 笑顔の有紀の言葉が思い出される。その言葉が鋭斗の小さな胸に火を灯す。 頼まれた。託された。認められた。戦士として、狩人として。 だから! 「己は必ず……七面鳥を狩って帰る!」 ラルヴァ、七面鳥。文字通り、七つの面を、首を持つ巨大な鳥のラルヴァ。 友との約束。狼は、それを決して違えない。己の誇りに懸けて。友との信頼に懸けて。 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 鋭斗は吼える。狼は吼える。 そして巨大な敵に立ち向かっていく。獲物ではない。獲物というにはあまりにも強大で、雄大な森の王者だ。だがそれでも鋭斗は怯まない。鋭斗は跳躍し、七面鳥へと立ち向かった。 金色蜘蛛と聖夜の空 「グモォオオオオオオオオオ!!」 巨大な牛の雄たけびが荒野に響く。 眼前にあるのは、全長五メートルはあろうかという巨体。黒い牛の頭部に張り付いた人面が凶気をやどして叫ぶ。 『序列二十一番目の魔神、モラクス……ミノタウロスや魔王モロクとも同一視される強大な固体だ』 逢馬空の影から声が響く。黄金の蜘蛛、バアルの欠片、悪魔ゴルトシュピーネ。 空と魂を共有し生かしているラルヴァ。二人三脚の悪魔と異能者である彼らは、その力でラルヴァと、そして悪魔と戦う。この日もまた、彼らは悪魔と戦っていた。目的がある。果たさねばならない使命がある。その為にもどうしてもこの悪魔を倒さねばならない。 空の脳裏に、約束が思い出される。 『逢馬くん、牛乳買ってきてね』 それは委員長との約束。クラス会のクリスマスパーティーで、案の定スルーされかけた空を誘った有紀の、空への頼みだった。 それは絆だ。違えるわけにはいかない。ケーキを作るための材料だ。必要にして不可欠だ。 だが、スーパーで牛乳が品切れだった。 ないならどうする? そう、牛から直接とればいい。双葉学園島の牧場地区に牛乳を取りに行った空はそこで遭遇する。 牛の悪魔。マラクスと。 マラクスは牛だ。ならば目的は一致する。 マラクスを倒し、その力を手に入れ、統べる。そうすれば最上級の牛乳が手に入るだろう。完璧だ。 だから――逢馬空は戦わねばならない。 「いくぞ、ゴルトシュピーネ!」 『おう!』 叫びながら、答えながら、しかしゴルトシュピーネは思う。 (アレ、雄牛だよなあ……?) どこからどう見ても雄牛の悪魔だった。そして雄牛はミルクを出さない。だって雄だから。 (……まあ、いいか) ここで空気を読まずに口出ししても意味が無い。駄目だったらまた別の方法で牛乳を探せばいいだけだ。 そして、黄金の影が実体化する。 バアルの鎧。東の王、序列第一位の魔王の力の欠片をその身に纏う。 「さあ、支配を始めようか」 王の言葉が、宣言された。 大地を覆う緑の触手に、浅羽鍔姫は襲われる。 だが、その触手はもろい。人間にも、小学生にも引きちぎれる程度の強度だ。なぜならそれはただの蔦植物に過ぎない。意志を持ち、近づくものを襲うからとて、大した脅威ではない。 だが、量が違っていた。とにかく大量だった。三本の矢の故事ではないが、この物量攻撃は流石にやっかいだ。 しかも、鍔姫はただの一般生徒。かつて悪魔をその身に宿していた時の様に、怒りのままに敵を焼く炎を出せたなら違っていただろう。だが、今の鍔姫は普通の人間だ。 そんな彼女が触手に襲われる理由……いや、正しくは襲われたというより、むしろ鍔姫が襲ったほうである。 クラス会のクリスマスパーティー。 その準備。 『鍔姫ちゃん、苺を買ってきてね』 ケーキのための苺。これは絶対に外せない。その苺の買出しを頼まれたのだ。 どうせなら新鮮な苺がいい、と双葉学園農業地区にいって――鍔姫は見た。 ビニールハウスが潰されようとしている。巨大な蔦――苺の蔦だ。 「私だって……」 木刀を握る。 相手はただの植物だ。これは習ったことがある、ただの下級ラルヴァ。一般人でも対処できるはずだ。 戦う。戦わないといけない。友達が、親友が自分を頼ってくれた。 だから剣を握るのだ。たとえ自分が異能者でなくても、それでも。戦う。そうじゃないと、自分の魂を削ってまで戦っている空の……彼の力になりたいだなんて、情けなくて言えない。 「許さない」 口にする。彼女の魂に根ざす、ある種禁忌にも似た言葉。感情の発露。それをどこぞの似非神父は、原罪と読んだか。 それをあえて口にする。意志を固める。カタチにして、方向を持たせる。 「邪魔を……するなっ!」 そして、浅羽鍔姫は木刀を振り上げ、苺の群れへと飛びこんだ。 埠頭のコンテナで大爆発がおこる。 「エホッ、ゴホッ! っつぁー、ガッデム!」 修道服に袈裟をかけた、怪しげな風貌の男が咳き込む。周囲は霧で包まれている……いや、正確にはそれは霧ではない。 空気中を漂う、小麦粉だ。 対峙する敵の能力は「小麦粉使い」である。なんかとまあ、妙な相手と戦う羽目になったものだ。 こうなった理由は…… 『秋葉さん、小麦粉買ってきてください』 クラスのクリスマスパーティーの買出しを頼まれた。直接関係ないけどまあいいや、と請け負ったが……それがなんでこうなったのか。答えは簡単、小麦粉が買い占められていた。小麦粉使いによって。 そして、仕方ないから分けてもらおうと交渉しに行った結果、決裂して戦闘になったのだ。 「つか、最近の連中は短気だねぇ」 敵の攻撃は、粉塵爆発。小麦粉を燃焼させる粉塵爆発は、本来は大した利便性をもたない。 敵も味方も吹き飛ばすからだ。だが、その小麦粉の燃焼に指向性を持たせる異能者が存在したなら…… 自在に操れる粉塵爆発。それは強大な兵器となる。 (だからって、買占めとかするかねぇ) ジョージ秋葉は苦笑する。まったくもってついてない。 これだから、異能者という連中は手に負えないと苦笑する。うっちゃって逃げても別にかまわない。かまわないのだが…… 「やっぱり、約束やぶりはいただけないからねぇ、オウシット」 頼まれたのだ。有紀に、小麦粉を買ってきてくれと。軽い気持ちで引き受けたが……だからこそその約束は敗れない。 大人同士の約束なら、状況が変わったことを理由にいくらでも反故に出来る。それが大人の世界というものだ。相手に状況の推移、リスクを伝えて納得させればいい。 だが相手は子供だ。単純に大人を頼っている。それが軽い気持ちであろうとも、大人は子供を裏切ってはいけない。裏切る大人は多い。だが、だからこそジョージは裏切らない。これはビジネスではないのだから。それに…… 「人を裏切るものは裏切られる。HA、僕には一番キツいからねぇ、それ」 借り物の魔法使い。誇り高き偽者。無能者でありながら、ただの人間に使えるレベルの魔術武器を駆使し、手品とハッタリ、小手先の戦闘技術。そして……ラルヴァや異能者の力を借りて戦う、一人では何も出来ない男。 だからこそ、ジョージは他人に感謝する。だからこそ、裏切らない。 「HA――! それがアダルティーってモンでしょうが……!」 ジョージは身を躍らせる。次々と局所的な粉塵爆発が起こり、ジョージを襲う。それをかいくぐりながら走る。 「ていうか、食べもの粗末にすんじゃねぇ! バッドすぎんぞてめぇ――!!」 他にも、クリスマスツリー用の飾り、もみの樹、サンタ服、など……様々なものが必要となり、有紀はそれをクラスの友達に頼んだ。 それが、それぞれの険しくつらい戦い、冒険、物語となったことは……ここでは別の話である。故に、上記の一部のみを語るだけで割愛しよう。 双葉学園のこの時期に起きた多くの物語の、ほんの一部でしかないのだから。 「みんな、お疲れ様」 くじを勝ち抜いて借り切った家庭科室のひとつ。そこでエプロン姿の女生徒たちがみんなを迎える。 「……うわ、どうしたのその姿」 有紀が目を丸くする。みんなけっこうなボロボロの姿だった。 「いや、この時期って色々とあわただしいからなあ」 空が言う。なるほど確かにクリスマス商戦は大変だ。本当に変身できるおもちゃを巡って謎の企業と戦いを繰り広げる変身ヒーローだっているだろうし。 「大変だったんだね。まあこの時期はそんなに特別なことじゃないしね」 「これが特別じゃないんなら私ゃ生きていけるか不安よ」 鍔姫が苺をたくさんいれた袋を机に置く。 ずいぶんと大変な目にあった。特にあまり人に言いたくない目にも。周囲に人気がなかったのがある意味は幸いであったが。 というか二度と触手はゴメンだと鍔姫は思った。 「じゃあ買出し部隊のみなさんは休憩しててね。私達があとは頑張るから。家に帰ってもいいよー、パーティー夜からだし」 有紀が言う。 その言葉に、疲れた買出し部隊の人たちは机に突っ伏したり、床に座ったりして一息つく。あまり疲労や負傷のない男子は、手伝いを申し出たりもした。 それを見て、鍔姫は言う。 「ねえ空も手伝……っていないし!」 逢馬空は、帰っていいと言われたらすぐに家庭科室を出て行ったのだ。 「……こういう場合は、うん手伝うよとか言うもんでしょーに……」 「一緒に飾りつけとかしたかった?」 有紀が鍔姫に言う。 「うん、こう手が届かないところに、俺がやるよ、とかいって、手が重なって……って何言わすんじゃコラー!」 鍔姫は絶叫した。 空は屋敷に帰る。この大きな洋館は、正しくは空の持ち物ではない。 逢馬空の使い魔である吸血鬼、シュネー・エーデルシュタインの持ち物だ。 「ただいま」 きしむ扉をあけ、屋敷に入る。 屋敷のロビーに霧が出る。霧……というよりはきらきらと輝く微細な氷の粒。それらが凝結し、人の姿を取る。 「……」 無言で空を出迎えるのは、シュネーだ。 「ふう、疲れた」 『楽勝だったがな』 影から出てきたゴルトシュピーネが壁を這い回る。 『ほらよ』 棚から小さなガラス瓶を取り出し、空へと向かって投げる。空はそれを受け取る。 『ちゃんと飲んどけよ』 「ああ」 ふたを開け、一気に流し込む。 「まずい」 『良薬口に苦し、って奴だな』 そう言って、ゴルトシュピーネは二階へと這いずる。 「苦くなくて効く薬が一番だよ」 そうぼやく空からシュネーは空の薬瓶を受け取り、片付ける。 「……そうだ、夕方からクリスマス会だけど」 空の言葉に、シュネーは頷く。シュネーは、クラスの一員だ。だが、昼間の買出しは吸血鬼の肌にあまりよくない。そんな理由でシュネーは手伝いを断った。だからシュネーは、自分に参加する権利はないと思っていた。故に、次の言葉に驚く。 「お前も行くだろ?」 「……」 空は平然と、それが当然かのように言う。 「私も……行っていいんですか?」 シュネーは小さな声で、おずおずと聞く。 「……私が行かなかったせいで、貴方が」 手に触れる。 傷だらけだ。悪魔マラクスとの戦いで、空はかなりの手傷を追った。 服に隠れている部分は特にだ。すぐに家に帰ったのは、傷の手当てをする必要があったからである。影での止血だけでは、とうてい足り無かった。宝石のラヴィーネ、その遺産の中にはよく聞く魔法薬も多くある。それで手当てすることでどうにか体は持っている。 「……使い魔、失格……」 シュネーは自分を責める。 もし自分が傍に居れば、この傷は負わなかっただろう。 空の手を両手でそっと掴み、シュネーは自分の頬に当てる。 「……」 空は黙って、その手でシュネーの頬をなでる。 「気にするなよ。使い魔だのどうだの言ってこだわってるのはゴルトの方だし、僕はまあそんなの特にどうだっていいし」 ゴルトシュピーネが聞いたらまたうるさく喚くだろう台詞を空は言う。 「お前が居るから、助かった」 「え……」 「お前がいなきゃ、ここの薬とか使えなかったし」 「……」 確かに、真祖ラヴィーネの継嗣であるシュネーがいなければ、そもそもこの屋敷、ここにある魔法薬のすべては空は触れることすら出来ないものだ。 「?」 「……」 デリカシーの欠片も無い空の言葉に、しかしシュネーは薄く微笑む。こくこくと首を縦に振り、空の手を握る。 「じゃ、そういうことで。とりあえず僕は仮眠しておく、流石に疲れたし」 そう言って、空は自分の寝室へと戻った。 日が暮れる。 夜になる。 「そろそろか、じゃあ行こうか」 空とシュネーは屋敷を出る。 「……寒っ」 外はすっかり冷え込んでいた。 身を縮めて歩く空。その後ろから、ふわりとした暖かなものが首に巻かれる。 それは、毛糸のマフラーだった。 「……シュネー?」 「クリスマス……プレゼント」 「僕に?」 シュネーが昼間にクラス会の準備を断ったのは、これを作るためだったのだ。夜に間に合わせるために。 『あー、委員長に教わってたのソレかい』 ここ数日、有紀と何か話していたのをゴルトシュピーネは見ていた。盗み聞きは性に合わないので深く詮索はしていなかったのだが。 (あっさりとシュネーが断ったのを了解したのは、コレ察してか) ゴルトシュピーネは内心納得する。 「ありがとう」 その言葉にシュネーは顔を赤らめつつ頷き、そしてかばんからもうひとつマフラーを取り出し、自分の首に巻きつける。 同じマフラーだった。 「吸血鬼もマフラーいるんだな」 それを見て空は感想を素直に述べる。 「雪系の能力持ってるからそういうのいらないのかと思ってた。寒いもんなあ、やっばり」 (……駄目だコイツ) ゴルトシュピーネはその言葉を聞いて影の中で頭を抑える。全くわかってねぇコイツ。同じ形同じ色の手編みのマフラーふたつってことで少しは察しろこのバカ。 仕方ないから助け舟を出そう、とゴルトシユピーネは口を出す。 『おい、お前はお返しとかないのか?』 「そうだな、しなきゃいけないな。だけど用意してないからな……あとで何か用意しないと」 『んなこといってよぉ、クリスマスだし用意してんだろぉ』 「いや別に」 平然と空は言ってのける。 『オイイイ、クリスマスだろ、そういうアレねーのかお前はよ! こうクリスマスって言ったらよー、家族とかー、恋人とかにプレゼントとかするもんだろうがー』 「家族はいないし恋人もいないし。そりゃ兄弟みたいなもんだけどね、お前と僕は。でもお前には別にいいだろうし、ていうか悪魔がクリスマス祝うのもどうかと思うが僕は」 『だめだコイツ……』 ゴルトシュピーネは頭を抱える。 『すまん』 そしてシュネーに謝る。シュネーは、ふるふると首をよくに振りながら笑う。 『……いや待て。つーかアレだ、クラス会ってプレゼント交換とかあんじゃねーの?』 「……」 その言葉に空は黙る。 「その発想はなかったな」 『忘れてたんかいてめぇっ!?』 「知らなかっただけだよ」 『もっと悪いわっ!』 「困ったな」 『お前が困った奴だよこのボケナスがっ! あーくそ、コンビニでなんかてきとーに買って繕えっ!』 「でもお金あまりないしなあ。そうだ、屋敷にある魔法薬とか……」 『だーっ! ソレいくらすると思ってんだよこのやろうっ!? いいからお菓子でも酒でもなんでもいい安い奴でいいから買ってけっ!』 ゴルトシュピーネが絶叫する。それを見て、シュネーはくすくすと笑う。 「酒は駄目だろう、未成年だ」 『いちいち重箱の隅つっつくような突っ込みすんじゃねぇよっ!? 本当にイラつくなてめえっ!?』 相変わらずの掛け合いというか、漫才じみた言い合いをする二人。 それを見守るシュネー。 「ん」 気がつけば。その三人を包み込むように、雪が降り始めていた。 『ホワイトクリスマス、か……けっ、なんかいいな』 「そうだな」 シュネーもこくこくと頷く。 「……」 雪の中、まるで踊るようにステップを踏むシュネー。空はそれを見る。 雪、か。 シュネーの名前は、確か……白雪の意味だ。 名前どおりに似合っているな、と空は思った。 白く儚く、透き通った色。それは透明な自分にも似てて、しかし決定的に違う、強い存在感のある色。二律背反のその形に、空は素直に綺麗だと思った。 夜空を見上げる。自分は透明だ。空っぽだ。闇に溶け、その姿は消え去る。だが雪の白は透き通りながらも、その輝きはまるで星のように煌く。 「綺麗だな」 口に出した言葉は、果たしてどちらの雪に対して言った言葉か。 それは自分にもわからない。 「……はい」 シュネーがその言葉に答える。どちらの雪に言った言葉だと彼女は捕らえたのか。 それは彼女にもわからない。 判らないまま、二人は歩く。 雪の降る道を。 聖なる夜の下、悪魔を宿した魔術師と、魔術師の下僕となった吸血鬼は歩く。 ……二人はこの夜には似合わない。 祝福などされない身であり、許されない立場だ。 だけど、それでも、彼らは歩く。神が許さずとも、彼らを許し受け入れる友達がいるから、だから歩ける、歩いていけるのだ。 どこかで誰かが言った。 メリークリスマス。 トップに戻る 作品保管庫に戻る
https://w.atwiki.jp/mayshared/pages/363.html
ラノで読む 七夕の日は、お祭りである。 年中行事の類は廃れ、一部が商業的思惑によって都合よく存続する世の中。 そうした時代には珍しいことに、双葉学園は時節のイベントをきっちり行っていた。 もちろん全員強制参加などさせられるわけでもなく、学園の本分を考えれば、その規模は慎ましい。 それでも醒徒会は、生徒たちが日頃の気晴らしをできるよう、工夫を凝らしたイベントを企画していた。単に会長がお祭り好きなだけで、何かと時節にかこつけて企画をねじ込んでいるという噂もあるが、真偽は定かでない。 梅雨も明け、今年の七夕は晴れ晴れとした天気だ。織姫と彦星も、幸せな一夜を過ごせることだろう。 こんな日和にわざわざ校内に留まるのは、忙しい教員と、一部の例外くらいのもの。 そうした暗がりを好む者の一人に、秋津宗一郎の実姉である、秋津 末那《まな》がいた。 <蛇の邂逅> 夕刻に差しかかろうとしている中、秋津 末那《まな》は誰かを探すように、あるいは土地勘を付けようとするかのように、ふらりふらりと歩いていた。 夏服ブラウスのポケットには、水性ペンと短冊が一つずつ。先ほど、七夕飾りをしていた一団に貰ったものだが、彼女は人前で願い事を書くことを避けるように、校舎内へと足を向けていた。 「……おい」 ふいに掛けられた声に、末那は眼鏡越しに視線を泳がせた。ふいの動きに、後れ毛がぱらりと落ちる。 彼女の仕草は常に芝居がかっているようにゆったりと、大仰だ。 それが本当の芝居を見破られ難くするための更なる芝居なのだということは、実の弟も知らない。彼女自身も、最早馴染みすぎて区別がついていないくらいなのだから。 声の主は彼女の背後で紫煙をくゆらせていた。 その出で立ちは奇怪だ。生々しい人体模型を抱えた、やつれたサラリーマンのような男。 彼女は少し首を傾げて、尋ねた。眼鏡が少しずり落ちる。 「どちらさまでございましょう?」 「あー、そこの保健室の主だよ。 見たところ、高等部の生徒か? ここは中等部棟なんだが、道に迷いでもしたか」 男はそう言ってから、ふぅ、と煙を吐き出す。対して末那は得心したと頷いて、口を開いた。 「保健医の方でいらっしゃるのですね。私《わたくし》は秋津末那と申します。 何分こちらに参りましてからまだ日が浅いもので、ご容赦頂ければ幸いでございます」 保健医の男は、彼女が大仰な敬語で自己紹介をする間、黙っていた。やがて確信を得たらしく、確認するように尋ねる。 「秋津……二年のあいつの姉か」 「まあ、あいつなどと仰らないで下さいませ。宗ちゃんは頑ななところもありまして、御学友の方々に随分迷惑をおかけしたと聞いております。 けれども今では、すすんで打ち解けようと、自分なりに頑張っているのですから」 ふふふ、と彼女は笑ったが、男は白けた顔で煙を吐くだけだ。 彼は、転校者通知から彼女の素性と、異能力を知っていた。その眼が裸眼では、殆ど何も視えないということも。 しかしながら彼は、かしゃり、と足元から音がしたその時まで、末那が彼の鼻先まで歩み寄ってきていて、自分が廊下の壁を背負っていることに気付けなかった。 彼が視線を向けた先には、落下した末那の眼鏡。上履きと、白い足首。 そして呟きが聞こえた。 「…どうやら……教職員の皆様は、私が何を感じ取って生きているのか、ご存知なのですね」 彼女をよく知らない者が末那《まな》を見るとき、まずその体躯に眼を奪われるだろう。 しなやか、という言葉がよく似合うその身体は、女性にはやや高すぎる背丈も相まって、威圧的ですらある。 だがその生命溢れるイメージは、彼女に備えられた一つの歪さによって、ひっくり返ってしまうだろう。 即ち、彼女の両の腕。 そこにあるべきものは、ない。 「感応能力、か」 保健医は得心したように呟く。 言葉だけではイメージの沸かない異能力も、目の当たりにすれば嫌でも理解出来るというものだ。 「……自らの魂源力を分け与えて無意識に油断させ、思考の一部をハックする。感情の動きが分かれば、相手が何を気に留め、何を見落とすかもお見通しという訳だ」 末那はその言葉を肯定も否定もせずまた、ふふふ、と笑った。 「そう、構えないで下さいませ」 別に取って食おうなどとは致しませんから、と冗談めかして言う。 「私はこのような成りですから、握手するなりといった、普通のご挨拶が出来ないのです。ですから――」 するり、と頬と頬が擦り合わされて、男の表情が硬くなる。微熱でもあるかのように、その膚は妙に暖かかった。 「こちらのお方にも、よろしいでしょうか?」 末那は男が抱えていた、生っぽい人体模型を見ながらそう尋ねる。 男はなんと答えればいいか、少し悩んだ。 だが、末那は彼が口を開くより早く、その皮無しの膚へと、頬を擦り寄せた。 そうして儀式じみた行為が終わり、彼女が再び顔を上げる。 裸眼の焦点は結ばれず、まるで遥か遠くを見ているかのようだ。 だが彼女は、別に不自由などしていないのだろう、男はそう思った。この女はきっと、眼に頼る生き物ではないのだ。 「…これから何かとご迷惑をおかけすることになるかと存じますが、どうぞ、よしなにお願い申し上げます」 秋津末那は丁寧な言葉で、七夕の邂逅を締めくくった。 前触れもなくバタバタと廊下を走る音が、終焉を告げに来た。 急速に、周囲に音が戻る。 だいぶ日が伸びていて分からなかったが、腕時計の針が夜と呼べる時間帯に差し掛かっていることに、男は気付いた。 だが今日は確か天体観測まで予定されていたので、まだまだ生徒は校庭なりに残っているだろう。 「おや」 「あ、先生」 廊下の曲がり角に、二人の女生徒が姿を見せていた。足音の主は彼女たちだ。そして、それぞれが一方と顔見知りである。なんだお前か、と保健医が呟いた。 「こんにちは、誠司さん」 「…こんにちは、末那さん。ここで何を?」 「いえ……大したことでは、ありませんよ」 何気ない会話。 しかし菅誠司の横で様子を見守る双葉五月は何故か、地雷原を目の前にした幻視を目の当たりにしていた。 それが策士《クオレンティン》が見せる、感情誘導の為の幻覚だったのかは、本人にすら分からない。 だが結果として彼女は何も言わないことを選択し、地雷原に突っ込むような事態を避けられたのだった。 どこかぎこちない両者は話題を見出しあぐねていたものの、末那が思い出したように口を開く。 「…そうでした。私、短冊の願い事を誰かに書いて頂きたかったのです」 「ああ……よかったら、私が書くけれど」 誠司はそう、普段からすればいささかへりくだるかのように申し出る。 五月にはそれがいささか意外に見えた。気を遣うというよりまるで、負い目を感じているようだったから。 が、当の秋津末那は微笑みながら首を振り、 「せっかくの御好意ですけれど、遠慮致します。 呪う相手本人に呪詛の言葉を書かせるのは、流石に心苦しいですから」 自ら地雷を踏みつけて、眼鏡も拾わず、歩き去っていった。 そのふらりふらりとした、長い後姿。 身を這い回る蛇を連想して、見送る保健医は微かに、顔をしかめていた。 蛇の邂逅・了 トップに戻る 作品投稿場所に戻る
https://w.atwiki.jp/mayshared/pages/1442.html
ラノで読む 怪物記 おばけにゃ学校も試験も何にもない ――ゲゲゲの鬼太郎 それは日常と言って差し支えない時間だった。 ある日の昼下がり、私はレポート執筆の休憩にリビングで日本茶を啜っていた。隣では八雲が少し欲張りに日本茶とジュースの両方をテーブルに置いて、のり煎餅をぽりぽりとかじりながらTVを見ている。 TV画面に流れるCMは国内最大の某魔法の王国のものだ。クリスマスの楽曲をバックに個性的なキャラクター達がライトアップされた山車に乗ってパレードしている。 『東京ディズニーランド・クリスマスファンタジー☆』 懐かしい。随分と昔の、物心ついて間もない頃の話だが家族で行ったはずだ。おぼろげだが兄と揃ってホログラムのお化け屋敷を随分と怖がっていた覚えがある。姉が私を絶叫マシンに乗せようとして係員に止められていたのも記憶にある。本当に懐かしい。恐ろしい、姉が。 それにしても、もうクリスマスになるのか。月日の過ぎるのは早いものだ。あれからそれほど経過してないように感じるのは気のせいだろうか。 そんな感想をぼんやり考えていると、トントン、というノックの音が我が家の玄関から聞こえてきた。 どうでもいいことだがドアをノックする客は初めてかもしれない。 ドアの向こうにいたのは、久留間戦隊のメンバーの一人で夏の兎狩りでも一緒だった伊緒君だった。 「こんにちは学者さん! すごく困ってます! 【幽霊事件】です! 幽霊が出たから助けてください!」 伊緒君は小柄な体の身振り手振りの自己主張と「!」の乱発で用件を伝えてきた。 私は「幽霊は少し時期外れだな」と思いつつ返答した。 「うちはゴーストスイーパーじゃないんだが」 「知ってます! でもラルヴァの学者さんです! だから何とかしてください!」 幽霊は人じゃない→ラルヴァは人外の総称→幽霊はラルヴァの三段論法である。 まぁ、幽霊が人じゃないかどうかは判断の分かれるところだが。 「いまいち話がわからないので詳細を聞きたいんだが、上がっていくかね?」 「はい! あ、おやつ時なので何か出してください! 飲み物は牛乳で!」 ……この子は奔放な性格が少し助手に似てるな。 将来心配だ。 十分後、伊緒君が牛乳と煎餅を平らげたところでようやく話を聞くことが出来た。 「要するに旧教育施設に幽霊が出た、と?」 「はい! 出たんです!」 旧教育施設。それは双葉学園、いやこの学園都市が建設され始めて間もないころに建てられた施設である。 学問を中心とした校舎ではなく双葉学園に通う学生――異能力者の訓練を専門とした教育施設であり、既に廃棄された施設だ。 同様の施設は学園都市の地下から山中に至るまで無数にある。だが、その旧教育施設は1999年からの大量出生直後、入学する異能力者の試算が正確でなかった2000年始め頃に突貫で建築されたものであった。そのため今は御役御免となり使われなくなった代物だ。 「たしか新しい施設を建てるために取り壊されると聞いていたが……」 この学園都市は東京湾上の埋立地。土地は有限であり、新たに何かを建設しようとすれば不要な建物を潰してその上に建てる必要がある。 「ボクたちがアルバイトで取り壊してました!」 「なるほど」 学園都市では技術を要さない土木作業は稀に異能力者の学生に回ってくることがある。 何分、異能やラルヴァなど一般社会にばれたらまずいもので溢れ返っているので建設会社をホイホイと学園都市に入れるわけにはいかない。 学園都市には建設部や大工部といった学園都市内の建築業代行機関も存在するが彼ら彼女らの人数は限られている。 そのため、単に『壊す』『運ぶ』といった作業は一般の身体強化系や超能力者、超科学のロボット使いに回ってくることがある。【家袋】の一件のように異能力者の力をもってすれば大抵の建築物はバラバラにできるし、その方が安く済むというのもあるだろう。 「その作業中に幽霊が出てきたのかね?」 「はい! それはもうおどろおどろしかったり可憐だったりエイリアンだったりスーパーロボットだったりバリエーション凄まじい幽霊だったみたいです!」 「待て。ちょっと、待て」 途中からおかしい。明らかにおかしい。 「エイリアンとスーパーロボットは幽霊じゃないだろう」 「でも半透明でスゥッと消えてしまったそうです! だから幽霊だって言ってました! きっと施設の事故で亡くなった生徒とか学園都市を建設するときに潰したお墓や神社やUFOやロボット秘密基地の祟りです!」 生徒はともかく、UFOや秘密基地は祟るのだろうか。 そもそもこの学園都市は海上の埋立地だからそういった土地のあれこれとは無縁に思える。まぁ、知らず知らずのうちに海神やら旧支配者やらの祠を埋めてましたくらいはありそうな世の中だが。 「見鬼や霊能の生徒は尋ねてみたかね?」 「はい! でも入っていった見鬼の人は『気配はありそうだけど姿は見当たらない』って言ってました!」 「……ふむ」 微妙なところだが……行ってみるか。ひょっとしたら珍しいケースの幽霊かもしれない。 「わかった。なら現場を見に行こう」 「ありがとうございます! さっそく行きましょう! 案内します!」 そう言って伊緒君はリビングと繋がる玄関から先に外へと出て行った。……まぁ、案内されなくても場所は知っているのだが。 「八雲、少し出かけてくるから留守番をしていてくれ。夕飯までには帰ってこれるだろうがもし遅くなったら大車輪かピザハットの出前でも取ってほしい。お金はいつもの場所に置いてある」 「わかった。いっしょにおるすばんしてる」 第十話 【幽霊】 ・・・・・・ 状況の整理。 本日の午後一時過ぎ、旧訓練施設の解体作業を請け負っていた学生一同は旧施設第二訓練場の解体に着手した。 彼らは手始めに自分たちで施設内の調査を行ったらしい。もちろん事前調査は学園側で済ませているのだが念のためだ。もしも近所の子供でも入り込んでいたら大事になりかねない。それはなくても猫の多いこの学園都市のこと、内部で猫が巣を作っている可能性も大いにあった。 そうした理由で彼らは内部に入って調査をしたのだがそこには予想外の存在《モノ》がいた。 幽霊。日常でも簡単に見受けられる言葉、そしてこの学園都市では実在も珍しくはない存在だ。 しかし彼らが遭遇したのは幽霊にしては多種多様の……と言うよりは何でもかんでもと言った方がしっくりくるモノであったらしい。人型、獣型、ロボット型、エイリアン型。訳も区別もまるでわからぬほどの幽霊の群れ。むしろ本当に幽霊であるかも疑わしいほどであったという。 しかし遭遇した生徒の投げた物品や振るった手足はそれらが存在しないかのようにすり抜け、それら自身も存在していなかったように消えうせたという証言がそれらが幽霊である証左となった。 かくして現場は騒然とし、見鬼の異能力者に協力を要請するも詳細はわからず、混乱は増し、作業従事者の一人であった伊緒君が割合独断で私を呼んできた、という顛末になったらしい。 伊緒君から聞いたそれらの情報を脳内でここまで咀嚼するうちに(伊緒君の証言は量こそ多いものの要領は得ないものがほとんどだった)、私の運転する車は旧訓練施設に到着した。 旧教育施設は思ったよりも自宅マンションに近く、その気になれば歩いてでも一時間せずに往復できそうな距離にあった。 施設の周りには十数人の生徒が見受けられ、その何人かの傍らには二、三台の重機紛いの何かが鎮座している。 一方でそれと同数ほどの生徒や重機モドキは施設のほぼ反対側に取り付き、壊し、破片をトラックへと運んでいる。解体されている建物は壁のコンクリートや木材が剥がされて鉄骨が剥き出しになっていた。 「作業は進んでいるらしいな」 「あっちは幽霊が出なかった棟です! ボクらの担当場所でだけ幽霊が出ました!」 なるほど。 「現場の第二訓練場は?」 「あの体育館みたいな建物です! あれが幽霊の出た場所です! 幽霊屋敷です!」 彼女が指した建物の外観は確かに体育館に似ている。だから幽霊屋敷という呼び方がミスマッチのしようすらないほど似合っていなかった。 「ふむ」 しかし旧施設の第二特殊訓練場か……前にも聞いた覚えがある。うろ覚えだが那美君からだったはずだ。 たしかあの建物は……ああ、なるほど。 「これは……現場に入る前にあらかた解けてしまった、のか?」 「え?」 「まあ、いいか」 いま私が考えている通りだとは思うが確証を得るためにはやはり現場に入った方がいいだろう。 「では入ってみよう」 「はい! あ、見鬼の人とか呼びますか?」 「恐らく手を煩わせるまでもないだろう。これはそういう事件だ」 事件と言えるかは判断の割れるところだが。 伊緒君が現場の責任者に話を通し、渋々ながらも許可をもらい、我々は施設の中へと足を踏み入れた。 第二特殊訓練場へは隣接した施設の二階から渡り廊下で進入する必要があったのでまずは隣の福祉棟を通ることとなった。 福祉棟は医療施設や休憩室などが集まっており、訓練による負傷の治療や合間の休息に使われていたらしい。当然だが今となっては使用者は皆無で、掲示板に張られた十年近く前の日付が書かれた催し物の告知ポスターが放置されてからの年月の経過を物語っている。 ここは第二特殊訓練場だけでなく、現在解体中の第一特殊訓練場とも隣接しており、施設の地図と衛星写真では両端が丸いTの字に 「ここって上から見ると男の人のチ○コみたいですね!」 「…………」 女の子が堂々とそれを言うのは如何なものか。しかも語気強めで。 「じゃあ右の金○を目指して進みましょう!」 ……決して悪い子ではなさそうだが自宅でのことといい発言内容に難あり。 変な形でテンションを落としながら歩いていると、廊下や天井の端々からピシリ、ピシリという音が聞こえてきた。 「こ、これは! 噂の怪奇現象ラップON!」 「その発音だとまるでサランラップをかけていそうだが」 それにこの音は隣で工事をしている影響で怪奇現象とは無関係だろう。 しかしよくわかっていないらしい伊緒君はどこか怯えている様子だ。 「うぅ! やっぱり幽霊は苦手です! 殴れませんボコれませんプチッできません! 何より死んでるから殺せません!」 ……怯えている、か? 「まぁ、死んでるから殺せない……とも限らんがね。別に幽霊は死んで幽霊になったものだけではない」 「? どういう意味ですか?」 「では簡単に説明しよう」 私は歩きながら話すネタとして幽霊についての解説をすることにした。 「幽霊と呼ばれているものは大まかに分けて四種類ある。一つ目は生まれたときから幽霊だったラルヴァだ」 「それすごく矛盾してません!?」 「かもしれない。ただラルヴァにはそうとしか言いようのないラルヴァはそれなりにいる。どちらかと言えば【オバケ】に当たる。おばけのホーリーやゴーストバスターズのスライマーあたりがいい例かもしれない」 「なんですかそれ?」 …………ああ、うん。ジェネレーションギャップして当たり前のネタだったよ。 「まぁそれは置いておくとして二つ目は人間が死んだ後に霊魂と魂源力のみの存在になることで生まれる幽霊、一番わかりやすい意味での幽霊だ」 「四谷怪談ですね!」 「四谷怪談に限らんがね。これは出自が出自なのでラルヴァと言うかは難しい」 ラルヴァ学会でも意見が割れていたはずだ。 「三つ目は人間や動物の死骸を用いて生み出されたあれこれだ。二つ目の幽霊と違い自然発生でなく人為的な……ネクロマンシーや僵尸術、フランケンシュタイン作成法によるものだ」 「それ幽霊っぽくないですね!」 「実体はあるし魂も入っていたりいなかったりで、不謹慎な言い方をすればホラー映画ではなくパニックムービーの域だから余計にらしくない、っと……」 そう言えばマシンモンスターやメルカバもこれに当たるのか。本当に不謹慎だ。 「それで四つ目は?」 「四つ目は……まぁ後で言わせてもらう。恐らく今回の件は四つ目だろうからな」 解説している間に渡り廊下も渡り終え、私と伊緒君は第二特殊訓練場に足を踏み入れた。 第二特殊訓練場の中はうっすらと埃が積もっているものの老朽化などはまだあまり見られない。建設されてから二十年も経っていないのだから当たり前といえば当たり前だが、見た目は今でも十二分に使用に足る印象だ。 入り口横の施設内地図を見ると中心に厚い壁を挟んで二つの大部屋があり、その周囲に通路や関係した部屋が配置されているようだ。 どうやらここにある二つの扉の先を通ってそれぞれの大部屋にいけるらしい。 「幽霊は大部屋で?」 「そうです! 右と左のどっちに出たのかは聞いたけど忘れちゃいました!」 忘れるな。 「仕方ない。手分けして両方とも調べよう」 「え? 学者さん雑魚なのに一人で大丈夫ですか!?」 「……まぁ、大丈夫だろう」 エレメンタル幽霊相手なら君だって手も足も出ないだろうに。いや、手足は出ても箸にも棒にもかからないのか。 そんなやりとりをして私と伊緒君は右と左それぞれの大部屋へと向かった。 大部屋へと通じる通路は隣の福祉棟と大差なかった。強いて言えばここには掲示板などないし告知ポスターも貼っていない。代わりに埃だらけの壁にいくつもの小さな手形がくっきりと見て取れる。おまけに床にはちらほらと黒い髪の毛が落ちていた。 ……はて、もしかするとこれはかなり怖いんじゃないか? 「いや、今回の件の真相に怖い要素などないはずだ。ないはずだ」 私は自分の推測の確かさを信じて浮かびかけた「怖い」という感情を抑え込んだ。しかしまだ少し抑え込みが足りない。こういうときはどうすれば……そうだ。 「歌おう」 怖いときは(まだ怖くなどないが)歌えばいいと子供のころ誰かに聞いた気がする。 という訳で歌う。選曲は陽気な曲だ。 「あったまてっかてーか」 お? 「さーえてぴっかぴーか」 これはいい。一気に気分が楽になってきた。こうすれば良かったのか 「そーれがどーしーた」 「ぼくドラえもん!」 ぎゃあああ!? バァン!と勢いよく開かれた扉と思わぬ合いの手に私は心底仰天した。 扉から登場したのは……。 「……………………何だ伊緒君か。君の担当は左側の部屋のはずだが」 「こんな場所で急にドラえもんの歌が聞こえてきたら気になって飛んできますって!」 ……危ない。本当に危ない。危うく悲鳴が口から飛び出すところだった。さすがにそれは少しみっともない。 「でも25にもなって怖いからドラえもんの歌を熱唱とかみっともないですね学者さん!」 やはりこの子は自由に酷い。そして穴があったら入りたい。 いや、違うんだ。普段はこんなに恐怖心は抱かない。ラルヴァの巣窟に放り込まれてももっと落ち着いている自信と落ち着いていた記憶がある。 今回のこの場所の雰囲気はいつもと系統が違うと言うか幼いころのトラウマを刺激されると言うか……。 などという脳内言い訳を並べているうちに伊緒君はひょいひょいと先へ進んでいく。 「ボクの行った方は通路にこんな手形や髪の毛はありませんでしたし、こっちが当たりですね!」 だそうだ。 なるほど、それならこちらが事件のあった場所だろう。 そしてきっとこの手形や髪の毛はここを調査しに入った作業従事者のものだ。明らかに小さな子供のものだが異能力者ならばおかしくはない。そうであってくれ。私の推測と心身のバランスのために。 通路を進んだ先の扉を開けると、そこはまるで体育館のような広い空間だった。この施設の外観は体育館に近かったが中身も同様であったらしい。 しかし床の材質は一目見ただけでも木やリノリウムとは異なった。どこか透明感があり、屈んで手で触れてみると硬質ながらも微かに柔らかい感触が返ってきた。 壁には窓がなく完全に密閉され、見上げれば天井には何がしかの機械が設置されている。なるほど、そういったところを見るとここはやはり体育館ではなく訓練場、もしくは実験場、あるいは……。 と、そこまで頭の中で考えを巡らせてようやく窓のないこの部屋に機械が設置されているのが分かる程度には明かりがついていることを理解した。廃墟とされながらも電気は変わらず通っているらしい。 となると、私がここを訪れて最初に打ち立てた推測の確度はぐんと上がった。 「さて、推測が当たっているか試してみるか」 私は伊緒君に先んじて大部屋の中央へと歩き出す。 室内を歩く私を察知して――あるいは私に反応して――薄暗闇に某かの幻像が浮かび上がった。 幻像はおどろおどろしい化物であり、エイリアンであり、ロボットであった。 多種多様というよりは雑多に、統一性も無く、幽霊と呼ばれた幻像はそこに立っていた。 しかしその幻像は……。 「やはりこれは」 「キャーーーーーーッ!」 一拍遅れて、幻像が何であるかに気づいた伊緒君が絶叫を上げる。 ――それと同時に私は気づいた。 彼女の絶叫が先ほど私の上げかけた驚愕恐怖の絶叫ではなく……絶叫マシンに乗ったときのそれだということに。 振り返れば既に彼女は両手を振り上げて跳躍している。 跳躍の着地点は幻像の群れの真っ只中であり、私の眼前だ。 私が慌てて後方に駆け出すのと、彼女が着地代わりに両手を振り下ろしたのは同時であり ――次の瞬間には大部屋の床は完全に粉砕されていた。 ・・・・・・ かつて【家袋】の事件の折に久留間君に質問したことがある。 その事件で私は彼女の率いる久留間戦隊のメンバー、藤乃君の尋常ならざる防御力を目にし、気になって聞いてみたのだ。「他のメンバーも同様に何かに特化しているのかね」、と。 そこでメンバーの能力について色々と聞いたのだが、その中でも伊緒君について久留間君はこう語っていた。 「伊緒ですか? メンバーの中でも一番幼いですけど、単純な腕力なら戦隊でもピカイチですね。私と藤乃はこの屋敷のラルヴァを解体するのに十分くらいかかっちゃいましたけど、伊緒なら三分でやれます。車を叩けば百メートルくらい飛んだ後で爆発しますね。アラレちゃんみたいだと思いません?」 ・・・・・・ 笑う久留間君に「それは腕力ではなく破壊力だ」とつっこんだのを思い出したところで私の回想は終了し、私は目を覚ましていた。 どうやら少し気絶していたらしい。 「学者さーん! 生きてますかー! 意識ありますかー!」 「……そういうことを確認しなければならない事態だったのが分かる程度には」 自分の意思と関係なく寝転がった姿勢になっていた私は寝転がったまま視線を巡らせる。しかし、先刻はうっすらと見えていたはずの室内の様子が暗闇ですっかりわからなくなっている。どうやら崩れた際に光源をなくしたようだ。 「学者さーん! どこにいますかー! ぐりぐりぐりぐり!」 「痛い痛い痛い痛い、伊緒君踏んでる、私を思いきり踏んでる」 「あ! すみません! 暗いからわかりませんでした!」 本当か? 「兎に角、こう暗くては確認のしようもない。伊緒君、壁のどこかを壊してくれ。それで外の光が入ってくるはずだ」 「はい! てやぁ~~~~……イタッ!?」 伊緒君の悲鳴と、ガラガラという壁の崩れる音が響く。外光が室内に差し込み、視界が回復する。伊緒君は額を押さえていた。どうやらパンチか何かで穴を開けようとしたが暗闇で距離を誤って顔面をぶつけたらしい。……顔面でも壁を崩せているのが恐ろしいところである。 次いで私は自身と周囲の様子を確かめる。幸いなことに床は崩れてもそう深くは落ちていなかったようだ。そうでなければ重傷を負うか生き埋めになっていただろう。いや、それでも下半身が埋まっていた。幸い砕かれて小さくなった床の破片ばかりで重くも痛くもないが……頭の横に突き立っている尖った残骸を見てぞっとする。 「…………次からは周囲の人間にも気をくばってくれ」 「学者さんがあの程度も自力じゃどうにもできないへっぽこ人間なの都合よく忘れてました!」 「突然床が吹っ飛んだら一般人の99%はどうにもできないと思うのだが……」 私は伊緒君に引き起こされて小生き埋めから抜け出た。 「それで学者さん!」 「なにかね?」 「これ、何ですか!」 伊緒君は一面に広がる残骸をざっと指差した。 先刻も少し触れたようにそれらは床の破片だ。よくわからない材質で出来た不思議な質感の破片である。 しかしそれは床の表面だけの話だ。 床の内側、カバーとなっていた表面の内側には機械が並べられていたらしい。砕けているものが多いのでよくわからなくなっていた。しかし日の光で崩れる前よりも明るくなった室内で天井を見上げれば、天井に設置されていた機械がその残骸と似た形をしているのがわかった。 「……やはりな」 こうして確認するまでは本《・》物《・》の可能性もあったが、結局は私の推測どおりだったらしい。 「伊緒君、これが何か……そしてここが何だったのか。両方の答えがこれだ」 私は床に落ちていた残骸の中で比較的分かりやすく、かつ私が持てる程度に小さいものを選んで伊緒君に渡した。 「これって……カメラ?」 彼女の言うとおり、それはカメラのレンズ部分によく似ている。しかし、ある意味では真逆だ。なぜならそれは写すものではなく映すものだからである。 「プロジェクターだよ。昔の超科学技術で作られた立体プロジェクターだ。色々なものを映せる。幽霊も、だ」 「……へ?」 さすがに二十年近くも前の代物だし画像も荒かったな。目撃者が本物と間違えたのは、この双葉学園の生徒だから、といったところか。 「あの、結局どういうことですか!?」 「要するに、ここは幽霊屋敷ではなく……遊園地のお化け屋敷だ」 ・・・・・・ 私が那美君から聞いていたこの施設の概要は以下のようなものだった。 この双葉区、学園都市、そして双葉学園が設立されたころ、この街を設立した異能力者や日本政府は様々な苦悩を抱えていた。苦悩の多くは今回の件に関係ないが、一つ大いに関係がある苦悩があった。 それは、『子供たちをどう訓練すればいいかわからない』ということである。 二十世紀末に起きた異能力者の爆発的な増加により生まれた多くの幼い異能力者の受け入れ先であり、異能の制御とラルヴァとの戦い方を教える双葉学園にとってこの苦悩は不可避であった。 増加以前の日本にも異能力者の組織と訓練のノウハウはあったが、それらのノウハウはあまりにも多様であった新しい異能力者に対応し切れなかったのだ。 超能力、身体強化、魔術、超科学の四系統。さらには個人個人であまりにも異なる資質。古くからの訓練方法では多様すぎる生徒を持て余したのである。例えると野球やサッカーのコーチしかいなかったのにアメフトやセパタクローの選手を教えることになったようなものだ。 ゆえに設立者達はまず『どんな異能でも幅広く対応できそうな訓練施設』を目標に施設の設計と建築を行うことにした。先のスポーツの例えに繋げて例えると、技術ではなく基礎トレーニングに該当する施設の建設だ。 その一つが第二訓練場であり、施設のテーマは『ラルヴァと戦う心構えを身につける』である。 訓練をつんでラルヴァの討伐や撃退を行うよりも前に、予めラルヴァと戦えるだけの精神力を身につけさせるため第二訓練場は当時最新の立体ホログラフィを使って本物さながらのラルヴァを相手に訓練をつませようとした、のだが……。 設計者の目論見は失敗に終わった。 その理由は当時を知る那美君曰く、 「立体3Dだったのはすごいし、ちょっと感動した。だけど、触れもしないし画像荒いし半透明だし明らかに偽物だとわかってるもの相手に緊張感の欠片もない訓練して精神力が身につくわけないでしょ? きっとまだお化け屋敷に入ったほうが訓練になったんじゃない?」 とのことらしい。 それから後、与田技研の訓練ロボットの導入もあり、第二訓練場は使われることもなくなって閉鎖された。 今回の事件は閉鎖されて使われなくなった施設を解体する際に施設の詳細を教えていなかった学校側の不手際と、何らかの偶然によって施設の電源が入ってしまったことが原因だ。 幽霊などいなかったが、幽霊に見えるものがそこにあった。 目撃者の学生達が幽霊だと誤解したのは本物を知っているゆえに、である。一般人と違って本物の幽霊がいるのは周知の事実である彼らにしてみれば、それらしいものは幽霊に見えやすい。しかして正体は幽霊ではない。 幽霊の正体見たり枯れ尾花 それが幽霊と呼ばれるものの、四つ目である。 ・・・・・・ 事件が解決し、自宅に帰るころには夕飯の支度ができる時間を過ぎていた。 「ただいま」 「おかえりなさい」 「今日は何かあったか?」 「シズクとあそんでた」 「シズク?」 「おともだち」 「……そうか、それはよかったな」 いつの間にか八雲にも個人的な友人が出来たらしい。それを嬉しく思うのは親心のようなものだろうか。 リビングを見れば、二人分のコントローラが刺さったゲーム機と対戦ゲームの画面が見える。 シズクという友達の姿は見えないからもう帰ってしまったらしい。 「っと、八雲、遊び終わったならちゃんと電源を切っておかないと駄目だぞ」 「うん、わかってる。あそびおわったらでんげんをきる。…………あ」 リビングに戻ろうとした八雲はふと何かを思い出したように立ち止まった。 「でんげん、きりわすれてた」 「? だから今から」 「ゲームじゃなくて、えっと……どこだっけ? うん、うん、きゅうきょういくしせつのだいにくんれんじょう、でんげんきりわすれてた」 ……何だって? 「シズクとあそんでて、あそこのスイッチいれたけど、けしわすれてた」 「…………なるほど」 閉鎖されていた施設の電源が入るなど妙な偶然もあったものだと思ったが、そうか八雲があそこの電源を入れたのか。考えてみればあそこはこのマンションから歩いていける距離だ。 つまり昨日以前か今日の午前中のうちに八雲が中に入って電源を入れてしまい、それが原因で今日の昼に事件が起きた、と。通路の手形や落ちていた髪の毛も八雲のものか。 「けしてこなきゃ」 「どの道もう取り壊しているからな……」 というか、伊緒君が壊したからな、床ごと。 「今回は済んだことだが次からは気をつけるんだ。それと、あまり人気のない建物に入ってもいけない」 「気をつける。シズクもごめんなさいって」 ? 「え? ……うん、わかった。言う。えっとね、シズクがあそこで暮らしてたんだけど、住むばしょがなくなっちゃったからどこかあめかぜをしのげるいいばしょはありませんか、って」 「…………待て、八雲。ちょっと、待て」 ――心なしか部屋の気温が下がった気配がする。 心臓が早鐘を打つ。 第二訓練場の廊下に一人立っていたときよりも早く、強く、耳に音となって聞こえるほどに。 それでも、私は尋ねなければならなかった。 「そのシズクって子は……どこにいるんだ?」 「ハイジの後ろ」 怪物記 第十話 了
https://w.atwiki.jp/mayshared/pages/117.html
怪物記 第一話【死出蛍】 兄ちゃん、蛍はなんで死んでしまうん? ――節子 F1という競技はそれより下位のF3などとは大きな違いがある。出場選手やスタッフのレベルの差もそうだが、マシンレギュレーションの違いだ。F3カーのエンジンの排気量は2000ccだがF1カーに搭載されるエンジンの排気量は2400ccだ。だからF1カーとF3カーがレースすればまず間違いなくF1カーが勝つ。いささか回りくどくなったが、私が言いたいのは性能差は埋められないということだ。要するに、 「君達……もう少し、加減して、歩く気は、ないか……?」 双葉学園都市の生徒と比べればF3カーはおろか原付程度の私の体力はもはや限界だった。現に彼女らと20メートルは距離が開いている。 「学者さん、いくらなんでも体力なさすぎですよ」 「こんなジャングルの中を30kmも歩けば普通は疲れ果てる……」 私の体力はあくまで人並みだ。もっとも、人並みはずれた面々から見れば貧弱もいいところだろうが。 「何にしろこのペースで歩き続けるのはもう無理だ……。ペースを緩めるか休憩するかしないことにはもう歩けん」 「でも早く問題のラルヴァ見つけないと夜になっちゃいますよ?」 「ラルヴァ……か」 人類はラルヴァと呼ばれる生物と戦っている。 もっとも、彼らは生物というくくりには収まらない。彼らは獣のようであり、怨霊のようであり……人のようである。 彼らとの戦いは世界の『裏側』でずっと昔から続いている。それこそ人類が文明をもったころから続いているらしい。世界各地の伝説や伝承の類――雪女やミノタウロスなどは当時のラルヴァのことを綴ったものだとも今では考えられている。それらの伝説や伝承の中、そして世界の『裏側』にしかいなかったラルヴァの有り様は二十年前から大きく様変わりした。 まるで器の中から水が溢れ出すようにラルヴァは『表側』に現れ始めたのだ。今の世界にはラルヴァが溢れている。しかしこの国でそのことを知る人間の数は決して多くはない。大多数の国民は情報統制に遮られ、ラルヴァの存在を知らない。知っているのは遥か過去からラルヴァと戦い続けていた人間――『裏側』の異能力者と、彼らと接触をもつ『表側』の政府。そして、彼らに育てられる異能力者の少年少女――双葉学園都市の学生たちだ。 彼らは学問やラルヴァに対抗する術を学ぶ学生であると同時に、『表側』の世界を襲うラルヴァと戦う戦士でもある。日本の各地でラルヴァが出現した際には現場に急行し、ラルヴァを討伐する使命を帯びている。 だが、彼らに同行する私は双葉学園の学生ではない。『裏側』の異能力者でもない。ラルヴァを研究する一人の科学者だ。双葉学園の学生たちがラルヴァの起こす事件を解決するために現場に出向くとき、研究のために同行する。 そう、今回のように……だ。 「……休憩がてらに今回の事件を再確認してもいいか?」 「既に休憩は決定事項なんですか……。しょうがないですね。みんなー! ちょっと休憩するよー!」 彼女の号令で今回のラルヴァ討伐パーティの面々が思い思いの姿勢で休憩する。仲間と雑談するのもいれば木に背中を預けて寝ているのもいる。……中には「何でこの程度で休憩するんだ」と非難がましい目で私を見ているのもいるが。 「それで今回の事件の確認でしたっけ?」 「ああ。私が事件のあらましを覚えている限り話す。それに修正や追加があったら言ってくれ」 「はい、わかりました」 事件の分類は【変死事件】。ラルヴァが起こしたとされる事件では一番件数が多い事例だ。 最初の被害者はここで働いていた女性従業員。一週間前から姿が見えない。以後の事件の被害者と同様に死亡したと推定されている。 第二の被害者はここの男性従業員。六日前の終業時間になっても姿が見えず、翌朝ミイラになってるのが発見された。外傷はない。 第三の被害者は第二の被害者の変死事件を調べていた警察官。捜査に当たっていた警官全員がミイラになって発見された。発見時刻はやはり朝。警官たちが拳銃を発砲した形跡はあったが弾丸は全て土や木に埋まって発見された。 かくしてこの変死事件はラルヴァによるものという見方が強まり、刑事事件から双葉学園預かりのラルヴァ事件となった。 「しかし半日かけての捜索も成果なし、か」 「はい。でもこの事件は早く解決しないといけません」 「なにせ現場が“こんなところ”だからな」 私は周囲の鬱蒼としたジャングルを見回した。しかしここは日本であるし屋久島でもない、普通こんなジャングルはない。さらに言ってしまえばこのジャングルは本物のジャングルじゃない。ここは 「ラルヴァもなんでまた遊園地のアトラクションなんかに出現したんだか」 ここはN県にある地方遊園地の中だ。人口のジャングルはこの遊園地のアトラクションの一つであり、実際には直径1km程度とそう大した広さではない。 しかし件のラルヴァは姿を見せず、おかげで延々と歩き回って結局30kmも歩く羽目になった。 「今日は変死事件の調査ってことで警察筋から閉園にできてますけど、そう何日もは無理ですよ。 ここは普通の遊園地で営業者も従業員も誰一人ラルヴァのことは知らないんですから」 そんなわけでこの事件はスピード解決が求められている。今ここにいるのは私を含めて六人だが、数十人の学生が遊園地中を手分けして捜索している。私はラルヴァが隠れるならここだろうと踏んでこのグループに同行したが、ラルヴァは姿を見せない。 「それにしても、こんなに見つからないなんて……ホントにラルヴァがいるんでしょうか?」 「いるさ。それだけは疑いようがないし、どんなタイプのラルヴァがこの事件を起こしたのかも既に想像がついた」 「え?」 「ラルヴァのカテゴリーはエレメント。特性は生気吸収。行動時間は夜間限定だな」 「銃弾が全て土木の中から発見されたということは『発砲はしたが当たらなかった』ということ。 この時点でラルヴァのカテゴリーは物理攻撃をすり抜けるエレメントか、高速移動で回避するタイプかに絞れる。 次に被害者が全て外傷もなくミイラ化していたのは生気吸収によるものと推測できる。 そういった生気吸収はカテゴリーエレメントの十八番であるし、ビーストやデミヒューマンが同じことをしようとすれば被害者は大なり小なり外傷を負う。 連中は生気を吸収するタイプでも噛みつきか握首を行うからな。よってカテゴリーはエレメントに特定。 また被害者が全て朝になってから発見されたというのも大きい。 恐らく、夜間の発見者は発見した被害者と同様に生気を吸われて殺されている。 つまり第三の被害者である警官たちは夜間も事件の捜索をしていたために、殺しつくされた。 しかし朝の発見者は殺されていない。このことから対象の活動時間は夜間限定であると断定できる。 それらの総合的な結論が『ラルヴァのカテゴリーはエレメント。特性は生気吸収。行動時間は夜間限定』だ」 「…………」 推論を述べ終えたとき、彼女や彼女のパーティメンバーはポカンとした顔で私を見ていることに気づいた。……どこか間違えただろうか。まぁ、外傷なしで生気吸収する新種のデミヒューマンという線もないではなかったが……。 「さすが探偵さんですね、びっくりしました」 「いや待て。私は探偵じゃないぞ、学者だ」 しかしながらシャーロック・ホームズの趣味は化学実験という設定なので両者は案外近いのかもしれないが。 「あら? でも夜に活動するラルヴァってわかっていたなら何も昼間に動き回らなくても良かったんじゃないですか?」 「科学者というのは仮に九割の確度で正しいと思っていても、後の一割を確かにするために実験を重ねるものだからな。 昼間に歩き回って何も出てこなかったおかげで夜間限定のラルヴァだと断定できた」 そう、ようやく断定できた。 「さあ、そういうわけで、だ。夜間まで待つとしようじゃないか。正直なところこれ以上歩くと肝心の夜に歩けなくなる」 私の足腰は座ったまま立てないほど限界だった。 果たして夜中になってラルヴァは出現した。 「ほたる……?」 木の中から一円玉程度の青白く光る球体がふわふわと浮かび上がってきた。たしかに、何も知らずに見れば蛍に見える。 「【死出蛍】か……予想外だな」 「しでぼたる、ですか」 「カテゴリーエレメント、下級Cノ5だ」 ラルヴァはその強さや知能によってカテゴリからさらに細かく分類される。下級Cノ5は『現代兵器が通用し』『単細胞生物レベルの知能で』『自然災害レベルで存在するだけで人を殺す 』だ。 「下級でCで5? それっておかしくないですか」 「そうだな。普通5という等級は圧倒的な力をもったラルヴァに与えられるものだ。 しかし死出蛍はその例外に当たる。極めて弱いが、存在するだけで人を殺す。 こいつらは近づくだけで人の生気を吸収するからな。まぁ、普通は触られても軽度の栄養失調程度で済む」 死出蛍はラルヴァの等級付けの隙間に存在するラルヴァだ。これといった意思もなく現代科学で対処可能だが、いるだけで人に危険が及ぶ。稀に死ぬ。感染しないインフルエンザのようなものだ。 「そもそも対処法さえ知ってれば何も怖くないラルヴァだ。まぁ、拳銃は効かないが」 私は持ち込んだ懐中電灯を点けて対処法を実演して見せた。懐中電灯の光で、死出蛍の青白い光を包み込む。すると、 「あ!」 懐中電灯の光が過ぎ去ったとき、死出蛍は消滅していた。 「死出蛍は自分よりも大きく強い光に包み込まれると消滅する。懐中電灯を持っていれば子供にだって倒せるラルヴァだ」 数多いるラルヴァの中でも最弱のラルヴァといっても過言ではない。その脆弱さ、低い危険度、まだ野犬の方が危険だろう。 しかし……だからこそ、解せない。先ほど述べたように普通は死出蛍に触られても軽度の栄養失調になるくらいだ。死ぬなんて事態は滅多にない。だというのに……この事件は人が死にすぎている。たかが死出蛍で何人も人が死ぬわけはない。そもそも警官たちとて夜間に捜索をしていたのだから当然懐中電灯は持っていたはずなのに、なぜ……。 「……学者さん」 「なんだ?」 「死出蛍って群れますか?」 「ん? ああ、群れる。と言ってもラルヴァの一種だ。ある特殊な条件下でなければせいぜい十かそこらだろう」 「じゃあこれって特殊な条件下ですか?」 「……何?」 彼女が指差したのはこの周囲の木々……否、 「なるほど。たしかにこれだけ集まれば死ぬほど生気を吸われるな」 眠りから目覚めるように木々の中から浮かびだす、数百数千もの死出蛍の群れだった。 「しかし、なんとも……すごいなこれは」 呆れと感心が半々の心境で私は死出蛍を見ていた。数千匹の死出蛍の群れは今も続々と数を増し続けている。夜行性とはいえ、これだけいてよく昼間一匹も見なかったものだ。……ああ、そうか。日が昇ると木に隠れない奴は消えてしまうのか。 「感心してる場合じゃないですよ学者さん!?」 口調こそ慌てているが彼女と彼女のパーティの動きは機敏だった。先刻説明した『接触すると生気を吸われる』、『大きく強い光に包み込まれると消滅する』という二つの情報を有効に使い、距離をとりつつそれぞれが携行した懐中電灯の光を当てて死出蛍を消していく。さすが双葉学園都市の生徒。場慣れしている。 「ところで君達は異能を使わないのか?」 「あたしのチームは全員身体強化系の異能ですから!」 なるほど。道理で昼間あれだけ歩き回ったのにまったく疲れないと思った。 「となると逆に死出蛍で良かったということか」 エレメントに物理攻撃は効かないが死出蛍は懐中電灯があれば倒すことができる。この分ならじきに…………待った。 「だから……これで倒しきれるなら警官は全滅なんてしやしない」 ラルヴァの存在を知らず、気が動転していたとしてもこの暗闇で懐中電灯の光を当てれば死出蛍の弱点は分かる。しかし警官は全滅した。即ち、死出蛍にはまだ秘密が…………あった。 懐中電灯に照らされて徐々に数を減らしていた数千の死出蛍。奴らは示し合わせたように一箇所に集合し ――そのまま一匹の巨大な死出蛍と化した。 小さな球体が巨大な球体を成す様はまるで原子の結晶構造のようだ。一匹一匹は一円玉程度の大きさだった光球も寄り集まって、今では運動会の大玉の数倍は大きい。 「納得した。これではもう懐中電灯ではどうしようもない」 私も生徒たちも懐中電灯の光を当て続けているが、まったく効く様子がない。それはそうだろう。今の死出蛍の光は懐中電灯などよりも遥かに大きく強い。加えて、今の巨大化した死出蛍に触れられれば一瞬でミイラと化してしまうはずだ。さらに不味いのは、 「……やっぱりなぁ」 「あの、学者さん? やっぱりって?」 「さっき死出蛍のことをこれといった意思もなくと言ったが、あれには若干誤りがある。 動物以下の微生物並みのCランク知性と言っても、微生物並みには知性があるんだ。 食べ物を探す程度の知性は持っている」 「つまり……?」 「デカくなって大食らいになった死出蛍には我々がご馳走に見えているだろうな」 巨大死出蛍はゆっくりと動き出し、 次の瞬間には最高速で突撃してきた。 「退避ーーーーーー!!!」 彼女の退却指令に彼女のパーティが一斉に駆け出す、と同時に私は彼女に背中におぶられていた。『さすが身体強化系。私一人くらいへっちゃらだ』や『男としてはいささか恥ずかしい格好だな』など思うことは多々あったが何よりしみじみと思うことは、 「……背負われてなかったら私は今頃ミイラの仲間入りしていただろうな」 現在彼女と死出蛍の両者とも推定時速50kmオーバー。『表側』の陸上世界記録が足元にも及ばない一般道路の制限速度ギリギリのスピードだ。自分の足で逃げてたら一秒で死出蛍に追いつかれて生気を吸い尽くされていただろう。身体強化特化のパーティに同行してよかったと心から安堵する。 「それで学者さん! これからどうしましょう! 死出蛍には光の他に弱点ないんですか? あたし虫除けスプレー持ってますけどこれ効きますか!?」 「ハッハッハ、面白いことを言うなぁ黄みは」 死出蛍という名前でもあれは昆虫型のラルヴァではない。そもそも効く効かない以前に虫除けスプレーじゃ駄目だろう、殺虫剤じゃないんだから。 「光以外に明確な弱点はない。あとは他のエレメントと同様に異能で片付けるしかない。 だから手としてはこの遊園地に来ている他のグループの超能力・魔術タイプの異能力者に任せるか……」 「か?」 「懐中電灯と比較にならない光量を当てるしかない。 君、フラッシュグレネードか閃光玉か太陽拳を持ってないか?」 「そんなの用意してないですよ」 「そうか。なら」 するべきことは一つ。 「逃げよう」 「はい」 私を背中におぶったまま彼女達は死出蛍から逃走する。逃走を開始してすぐにアトラクションのジャングルを抜け出し、今は舗装された園内の道路を走っている。お互いに全力で動いてるのだろうに両者とも時速50kmからまったくスピードが落ちない。私は『やはり異能力者とラルヴァはすごいな』と子供のようにぼんやりと考えていた。 ただ死出蛍はこれが最高速度なのだろうが、彼女は全力でこそあれ最高速度ではない。私という荷物を背負っているから逃げ切れない速度でしか動けないのだ。その証拠に彼女の仲間は先行して前方にいる。 さて、どうしたものか。少なくとも彼女の背から飛び降り自ら死出蛍に食われることで彼女の負担をなくすという選択肢はない。死ぬのはごめんだし、そんなことされたら彼女達もトラウマだろう。 やはりここは彼女に頑張ってもらうしかあるまい。頑張れ。 「学者さん! 他のグループと連絡が取れました!」 彼女は器用にも私を背負って全力疾走しつつ片手で通信機を使って他のグループと連絡を取り合っていた。 「超能力・魔術タイプの異能力者は?」 「いました! もうじきこちらに到着します……来ました!」 彼女の言葉とほぼ同時に車のエンジン音が私の耳にも届いた。一台の軍用ジープが交差した路地からやってきてこちらに並走する。その軍用ジープは最年長らしい男子学生が運転し、後部座席から三人の女子学生がルーフのない車内から身を乗り出している。 三人は死出蛍へと狙いを定め――超能力・魔術の力を死出蛍に向ける。不可視の念動が、極北の冷気が、炎の円盤が死出蛍を攻撃する。不可視の念動は死出蛍の少しだけ後退させ、極北の冷気は死出蛍の速度を若干緩め、炎の円盤は死出蛍を真っ二つに引き裂く。が、あっという間に再び結合して元通り。 要するに効いていないのだ。 「はぁ!?」 ジープを運転していた男子学生が驚愕の声を上げる。ああ、私も驚いた。 「弱いラルヴァだと思っていたが……。 懐中電灯で死滅するくせに異能に対してこれだけ高い耐性があるとはな。 なるほど、5の等級だけでなく下級の等級でも例外だったか」 「だから感心してる場合じゃありませんって!?」 まったく応えた様子もない死出蛍は我々を追い続ける。 「異能が効きづらいとなるとやはり光しか倒す手段はないか……」 しかし、そんな光源をどこから用意すればいいんだか。 「ちなみにそちらはフラッシュグレネードか閃光玉か太陽拳を持ってないか?」 駄目元でジープを運転していた彼に尋ねてみたが、 「ねえよ! つうか太陽拳って技じゃねえか! 天津飯かよ!」 やはり駄目だった。それも今度はツッコミまでついていた。 さて、どうしたものか。まぁとりあえず今すべきは……データ収集か。 「君達、頼みがあるんだがもう一度攻撃してみてくれないか、と」 最初からそのつもりだったのか彼女たちは私が言い終えるころには既に死出蛍を攻撃していた。しかしやはり念動は多少のノックバックをするに留まり、冷気は進行速度をわずかばかり緩めるに過ぎず、炎の円盤は死出蛍を切り裂くもすぐ復元されてしまう。 「……ふむ」 なるほど。なるほど。なるほど。 “二回とも同じだった”。おかげで合体した死出蛍の耐性は大体分かった。推測どおりなら……、 「聞きたいんだが、虫除けスプレーはどこにある?」 「え?」 「さっき虫除けスプレーを持ってると言っただろう?」 「ポーチの中ですけど……」 「少々借りるぞ。あと、悪いが少し動く」 彼女の腰に装着されているポーチを開き、中から虫除けスプレーの缶を取り出す。缶の横面に書かれた『火気厳禁』の注意書きを読み、私はおもむろに懐からライターを取り出す。同時に身体を捻って自分の上半身を死出蛍の方へと向かせる。 「きゃっ! なにを」 「あの生徒が放った炎の円盤が死出蛍を真っ二つにするのを二度見た。 二回ともすぐに修復したのでご覧の有様だが、一時的にとはいえ分裂したのは確かだ。 ではなぜ分裂したのか? 高速回転する円盤が切断したのか? いや違う。運動エネルギー……物理攻撃はエレメントに何のダメージも与えない。 切断したのは……炎の高熱だ」 私はスプレーのノズルの先端を死出蛍に向け、 「高い熱エネルギーを受けることで元々は群体である死出蛍は一時的にその繋がりを断たれる ようだ。無論、またすぐに元に戻るわけだが……」 スプレー缶の手前に点火したライターを添える。 「熱エネルギーを受ければ部分的に合体が解けて分裂して小さくなってしまう。 炎で包める程度には、な」 私がスプレーのトリガーを押し込むとノズルの先端から高圧ガスによってスプレーの微粒子が噴出し、 ライターの火が着火して即席の火炎放射器となった。 「推測どおりだ」 炎の高熱に炙られ、巨大死出蛍がボロボロと崩れだす。バラバラにされたところでまた合体することなど容易な死出蛍の分体はしかし、炎に包まれて徐々に消えていく。なぜなら 「簡単な科学の問題。燃焼という現象のエネルギー変換を説明せよ」 「? えっと、化学エネルギーから熱エネルギーと音エネルギーと……あ!」 「光エネルギーだ」 熱エネルギーで元の小さな光球に分裂した死出蛍を炎という名の光が包み、消滅させていく。私が虫除けスプレーで簡易火炎放射器を作ったのと同様に、車の女子学生たちも虫除けスプレーやヘアスプレーを取り出し、炎の円盤の少女が点火することで火炎放射を死出蛍に噴きつける。 良い子は真似しないで頂きたい。 徐々に徐々に磨り減っていくというのに微生物並みの知能しか持たない死出蛍は我々を追撃することをやめず、結果として総体積を減らし続ける。死出蛍はもう、詰んでいた。 「そういえばこんな諺があったな」 「飛んで火に入る夏の虫、だ」 スプレーの中身を使い切るまで火炎放射した結果、死出蛍は一匹残らず消えてなくなっていた。 「終~了~!!」 ジープを運転していた男子学生のその言葉が合図になって私は彼女の背から降ろされ、生徒たちもようやく終わったと息をついた。 「……まぁ、まだ一つ残ってるんだが」 「残ってるって何がですか学者さん?」 私の独り言が聞こえたらしく彼女が私に尋ねてきた。 「死出蛍の群れが出る前に話していたことだが」 「?」 「死出蛍は通常多くても十匹程度の群れしか作らない。……ある特殊な条件下でなければ」 「その条件って」 「それは“現場”に戻ってから話そう。君、すまないがジープに乗せてくれないか。おんぶを頼むのも気が引けるのでね」 数分後、我々は死出蛍と遭遇した場所であり、被害者たちが殺された場所であるジャングルのアトラクションへと戻っていた。ジープを降りて全員でジャングルの中を歩く。 「おっと……」 逃げるときは背負われていたので気づかなかったが夜間の鬱蒼としたジャングルは中々に歩きづらい。うっかりすると足を取られて転びそうになるので注意しながら歩いていく。 だがそうして歩いていたとき、ぐにっ、と足元から柔らかい感触が返ってくる。 「…………」 “踏んでしまったかもしれない”。 私は恐る恐る足を動かし、今しがた踏んだ地面に懐中電灯の光を当てる。暗いのでわかりづらいが私が踏んだあたりは心なし地面の色が他と違う。それに土の表面が随分と柔らかそうだ。まるで……最近一度地面を掘り返したかのように。 「この事件のことを、もう一度確認してもいいかな?」 「? はい、構いませんけど」 「最初に事件が起きたのは一週間前。この遊園地で働いていた女性従業員が行方不明になった。 翌日、やはりこの遊園地で働いていた男性従業員の姿が終業時刻から見えず、翌朝ミイラに なって発見された。このことから最初に行方不明になった被害者もまた同じように変死して いると見られ、第一の被害者とされた」 「はい、この事件の被害者たちは死出蛍に生気を吸われて殺されたんですよね」 「それなんだがな……第二の被害者と第三の被害者はともかく……第一は違うかもしれん」 「どういうことですか?」 私は彼女と話しつつ、慎重に靴を動かして色の違う土を少しずつどかしていく。 「さっきは途中になったが、死出蛍が十以上の群れを作るには特殊な条件が整っていなければ ならない」 土をどかしていくと、土とは違う若干硬い感触がした……この靴は後で捨てよう。 「その特殊な条件下とは……」 土をどけ終えると、その中からあるものが文字通り顔を出した。それは……、 「新鮮な“他殺”死体が近くにあることだ」 地中の微生物に食われて腐乱した女性の死体。 この変死事件の最初の被害者だ。 翌日、私は双葉学園都市内に借り受けている自分の研究室で死出蛍の事件のことを留守番していた助手に話していた。 「これは私の推測になるが恐らくあの女性を殺したのは第二の被害者だな」 「はぁ、何でですかー?」 「痴情のもつれか、金銭トラブルか、そんな事情は知ったことではないが彼は彼女を殺した。 突発的な殺人だったのだろう。遺体を処分する準備など何もせずに殺してしまった彼は、 ひとまず彼女をあのアトラクションのジャングルに埋めた。準備を整えるまでの急場しのぎ としてな」 「無計画ですねー」 「まったくだ。翌日、遺体を処分する手筈を整えた彼は彼女の遺体を掘りおこすために再び 深夜にあの場所を訪れた。だが運悪く彼女という他殺死体を苗床に繁殖した死出蛍に襲われ、 ミイラ第一号になったわけだ。まぁ、彼に関しては自業自得だな。 可哀そうなのは第三の被害者である警察官達だと私は思うね」 「ご冥福をお祈りしますー」 「しかし、こうして推測を続けたところで殺人事件のほうの真相を知る術はないな。 この事件はラルヴァ事件になってしまったのだから警察としては迷宮入りだ」 どちらにしろ加害者は死んでいる。見方によっては殺された女性が復讐したとも言えるだろう。死出蛍にしてみればただ単に繁殖と食事をしていただけなのだろうが。 「死出蛍は生きている人間の生気を吸って生き、他殺死体を使って繁殖する。 何故他殺死体でなければいけないのかはまだわからない。 殺された人間の怨念でも吸うことで繁殖するのか、それとも単なる習性なのか。 何にしても、傍から見てる分にはまるで死者の魂が蛍に変ずるかのような光景なのだろうな……」 蛍は古くから人魂を連想させる生物だ。以前観た映画でも死者を荼毘に付したときの火の粉が蛍を連想させるシーンがあった。 「センセも死んだら蛍になりますかー? この夏の見ものですねー」 助手の脳内では俺の命は夏までなのだろうか。 「生憎だがそんなに早く死ぬ気はないな」 「私はまだラルヴァを知り足りないのだから」 第一話【死出蛍】 了 登場ラルヴァ 【名称】 :死出蛍 【カテゴリー】:エレメント 【ランク】 :下級C-5 【初出作品】 :怪物記 第一話 【備考】 :ラルヴァの等級付けの隙間に存在するラルヴァ。 これといった意思も無く現代科学で対処可能だが、 近づくと生気を吸われるのでいるだけで人に被害が及ぶ。 普通は軽い栄養失調になる程度だが稀に死ぬ事例もある。 自分より強い光に包み込まれると消滅する。 懐中電灯を持っていれば子供でも対処可能。 通常は群れても十匹程度だが、他殺死体があると繁殖して数を増す。 過去に確認された動物の死体での繁殖数は百匹ほどだったが、 人間の他殺死体の場合は数千匹を超えることが確認された。 数を増すと集合・合体し一匹の巨大な死出蛍となる。 この状態になっても光が弱点である。 また、強い熱にさらされると一時的に合体が解ける。 ただし、光と熱以外には強い耐性を示す。 登場キャラクター 学者 【名前】 語来 灰児(カタライ ハイジ) 【学年・クラス】 ラルヴァ研究者 【性別・年齢・身長・体重】 男・25・182cm・63kg 【性格】 物事の視点や考えを周囲に左右されない。そして何よりも理屈屋。 【生い立ち】 大学を飛び級で卒業後に日本政府直属の研究所に就職した後にラルヴァの生態研究専門の研究者となる。 【基本口調・人称】 年上に対しても年下に対しても目上に対しても目下に対しても学者然とした順を追ってはいるが回りくどい話し方をする。 一人称:私 二人称:君 一人称複数形:我々 二人称複数形:君達 【その他】 学園都市に研究室を借りて滞在し、能力者がラルヴァと戦う際に同行し、ラルヴァを観察する。 学園都市に来る前からの助手が一人いるが、彼以外誰も姿を見たことがない。 夏でもブラウンのロングコートをはおり、内ポケットにライターや懐中電灯など色々なものをしまっている。しかしフラッシュグレネードと閃光玉と太陽拳は入っていなかった模様。 夏場は保冷剤が仕込んであるのでコートを着込んでいても内側は涼しい。 【久留間戦隊(クルマセンタイ)】 怪物記一話にて灰児が同行したパーティ。 リーダーは久留間走子(クルマ ソウコ)。 五人のパーティメンバー全員が身体強化系の異能力者であり、高速・高機動の連携徒手格闘戦を得意とすることで知られている。そのためビーストには強いが、エレメント、特に接触による生気吸収を行うタイプの相手は鬼門である。 実戦経験は多く、戦績も中程度。 【TeamKAMIO】 怪物記一話にて援軍に到着したパーティ。 リーダーは上尾慶介(カミオ ケイスケ)。 四人のパーティメンバーは異能力者でないカミオと三人の少女異能力者という構成。 上尾の軍用ジープにパーティメンバーを乗せることで足の遅い異能力者をカバーする戦術を取る。 オンロードオフロード屋外屋内を問わず自前のジープで走破する。 その際に公共物を破壊してしまうことも多い。 登場ラルヴァページへ トップに戻る 作品投稿場所に戻る
https://w.atwiki.jp/gods/pages/97384.html
ユーリーサンセイ(ユーリー3世) モスクワ大公、ウラジーミル・スーズダリ大公。 関連: ダニールアレクサンドロヴィチ (ダニール・アレクサンドロヴィチ、父) エヴドキヤアレクサンドロヴナ(2) (エヴドキヤ・アレクサンドロヴナ、母) コンチャーカ (妻) 別名: ユーリーダニーロヴィチ(2) (ユーリー・ダニーロヴィチ) ゲオルギーダニーロヴィチ (ゲオルギー・ダニーロヴィチ)
https://w.atwiki.jp/mayshared/pages/126.html
召屋 正行 「頼む、そいつを解放してくれっ! そうでないと俺はただの役立たずになっちまう」 基本情報 名前 召屋 正行(めしや まさゆき) 学年・クラス 高等部 二年C組 性別 男 年齢 16 身長 188 体重 72 性格 常識人、ツッコミ、怠け者、ペシミスト 生い立ち 普通のサラリーマンの家庭に生まれ、普通に育つ小学生時代は、その能力で『虫採りまさくん』と呼ばれ、尊敬されていた。双葉学園には高等部から入学その異常な世界に辟易している 基本口調・人称 俺 他人に対しては苗字で呼ぶか、お前、あんた、コイツなど 特記事項 困った立場になるすぐに癖毛のくしゃくしゃと掻き毟る瞬発力はあるが、日ごろの運動不足が祟ってスタミナはゼロ能力の関係上、記憶力とイマジネーションは高く、歴史などの科目は強い。一方、数学、物理といった計算を強いるものは全くの苦手で赤点ギリギリにある 特記事項 変態ホイホイが真の能力という噂もある 能力 あらゆるものを召喚する能力。過去に見聞きしたものを明確にイメージすることで、現実世界にそのものを召喚する。犬やクワガタ、カブトムシといった昔から記憶し、身近に接しているものや過去に何度も召喚しているものは、タイムラグなく現実世界に呼び寄せることができる。ただし、ラルヴァや空想世界の動物など、曖昧なイメージや情報量が少ない場合は、召喚に時間が掛かったり、失敗する。召喚された生物がどこからやってくるのかは不明。送還は任意では行えず、召喚した生物と一定距離を離れることで、自動的に送還される。欠点は常時一体しか召喚しかできないこと、コントロールできないことにあるが、その一方で、召喚した生物と精神的、肉体的にリンクしていないため、現実世界で召喚した生物が殺されてもダメージは受けない その他詳細な設定 装備:知人の付与魔術師に祝福してもらった伸縮式の特殊警棒 好物:ナポリタン 【召屋正行の日常はこうして戻っていく】で召喚したクロについて 召屋が幼少時に友人として創造したイマジナリーフレンド。彼の危機に能力が発現し、それ以後、彼を守る心強い相棒となる。 「黒いライオンのような姿で、気高く、知的で、心優しく、人を傷つけず、ラルヴァのみを食い、それによって育つ」という設定を子供の頃の召屋によって与えられている。 原因は不明だが、長期間、記憶の書き換えと欠落により、その存在を忘れていた。 寄生線虫の寄生のによる能力の暴走の副作用により、その記憶は戻ったが、召屋自身の能力は年々衰えており、本物のクロを呼び出すことは非常に困難である。 無理に召喚しても実体化できるのは3分程度であり、その直後に魂源力の枯渇によって召屋は意識を失い、2~3日は目が覚めることはないため、彼がクロを召喚することはまずないだろう。 登場作品 ・【召屋正行のささやかな日常はこうして壊れた】 そのいち そのに そのさん 作者のコメント メッシー.bmp